日誌

創造力をつけるためには?❽

❽「想像力」を豊かにする  一いまの「無駄」が将来の力になる

ロシアの心理学者レフ・ヴィゴッキーは、「人間がもつ想像力は、創造力の重要な基盤となる」といっています。そして、遊びや趣味にこそ、さまざまな創造に結びつくタネがあることを指摘しています。想像力は芸術的な分野に限らず科学、そして日常生活や人間関係などにも欠かせないものです。ヴィゴッキーによると、想像力は一部の天才だけに備わった特殊な能力ではなく、すべての人に備わっているといいます。

パブロ ピカソも「子どもは誰でも芸術家だ。問題は大人になっても、芸術家でいられるかどうかだ」という言葉を残しています。子どもが生まれながらにもっている想像力を損なわず、豊かに育んでいくことは、新しい未来を創造していく力になります。

 

「想像力」を豊かにするにはどうすればいい?

(1)自由に遊ばせる

子ども用のプログラミング言語「スクラッチ(Scratch)」を開発したMITのミッチェル・レズニック博士は、幼稚園での子どもたちの学び方に注目し、「すべての世代の学習者は幼稚園児のように学ぶべきだ」といっています。そして、子どもたちが自分で選んだ遊びを楽しみながら実験したり、つくったり、いろいろな戦をする体験こそがとても大切だといいます。

ところが、子どものスケジュールをすべて習い事などで埋めてしまったり、テレビやゲーム、YouTubeに時間を奪われたりするばかりでは、内面から湧き出る想像の芽に気づく余裕がなくなってしまいます。

親は子どもに、自分のペースでゆったりと過ごせる時間をつくってあげる必要があります。

(2)おもちゃを与えすぎない

アメリカ、トレド大学の児童発達学の研究チー厶によると、おもちゃは少ないほうが子どもはより長い時間集中して遊び、探究心や想像力を発揮しやすくなることがわかっています。子どもにとってはむしろ空き箱や空き缶のようなものがおもちゃ以上に想像力をかきたてる楽しい遊び道具になります。

(3)友だちと遊ぶ

遊ぶときや何かをつくったりするときは、協力したり共有したり、刺激し合ったりできる仲間がいると、想像力がさらにふくらんでいきます。

(4)本を読む

読書は、現実では体験できないことを想像の中で体験させてくれます。読み聞かせは、親子で想像の世界に入りこむことができる楽しい時間です。

(5)応答する

言葉の発達は、子どもの想像力に影響します。法政大学の発達心理学者、渡辺弥生教授によると、たとえば子どもが雲などを見て「〇〇に見えるね」と言ったら、「そうだね」と受け止めてあげるだけでなく、「ママ(パパ)にはXXにも見えるなぁ」などと自分なりのイメージも伝えてあげるとよいそうです。

子どもはそうした対話を通じて言葉を豊かにすることで、想像の世界を広げていくのです。

(6)無駄も大切にする

心理学では、想像は何もないところから湧き出るのではなく、過去の経験を素材にして生み出されるといわれています。大人からすれば「どうしてそんなことにこだわるのかな」と理解できないようなことでも、子どもの経験は一つひとつが、いまのその子にとって必要なものです。一見、無駄に見えるようなことをしていても、じっくり見守ってあげることが大切です。