日誌

国語がよくわかっていないことを考える⑧

8 なぜ国語のテストで点数がとれないの?

学校で行なわれる国語のテストは、学んできたことを確認するためですから、特別難しい問題が出題されるわけではありません。そのテストで点がとれない原因として考えられるのは、まず「漢字や言葉が理解できていない、覚えていない」こと。小学校で習う漢字は1006字と、とても数が多いので、新出漢字は出てきたときにしか教えられません。前に習った漢字を復習する時間がないのです。しかし漢字や言葉は、「習って、知って、使って」を繰り返さなければ、身につけることができません。普段から、目につくものや動作を、「これは漢字になるのかな」「なるとしたらどんな漢字を使うんだろう」と考えるような習慣をつけてあげましょう。続けていくうちに、「調べるにはどの辞書を使えばいいんだろう」という疑問が出てきて、国語辞典をよく使うようになります。ある子どもが、「先生、漢字を調べるのは漢字辞典だと思っていたけど、知りたい漢字を探すのは国語辞典なんだね」と、嬉しそうに報告してきてくれたこともあります。

点がとれない原因の二つ目は、「学習したことが定着していない」こと。学習内容をどこまで理解できているかを確認するには、音読や視写を繰り返して、文章自体に馴染むことが大事です。音読についてはお話ししましたが、『視写』というのは「視て、書き写す」ことです。自分で「ここは大事だ」と思った文章や、気に入った文、気になる文をノートに書き出します。目で字を追うよりも、自分の手を使うほうが、内容はしっかりと定着します。

また『視写』には、書く速度を身につけるという利点もあります。字を書くスピードが遅くて、黒板に書かれたことを先生と同じ速度で書き写すことができないまま、どんどん遅れていく子どももいます。こういうことが何度も続くと、ノー卜をとることが苦痛になったり、無気力になったりすることさえあります。ある程度のスピードで文章が書けるというスキルが身につけば、国語以外の教科でも生きてきます。

三つ目の原因は、「何が問われているのか理解できない」こと。テストの問題には、当然答えが用意されています。質問文を理解できなければ答えを導き出すことができません。対策として、身のまわりのものや出来寧などに疑問を持ったときに、人に頼らず、自分で答えを見つけ出そうと行動を起こさせるようにするといいでしょう。

 

理解度を上げるヒント

テストの点数に一喜一憂することはないのですが、子どもの理解度を知る上で、点数は参考にしていただいてよいと思います。しかし点数に対する評価だけで終わるのではなく、家庭では、子どもとしっかり向き合って、なぜこんな間違いをしてしまったのか、基本的なことが理解できているかどうかを話し合ってみてください。

(1)漢字や語句は文章で覚える

 教科書の文章を全部ひらがなにして、「漢字に直せるところを直しなさい」という問題を出すことがあります。これは、習った漢字を使う機会を増やすために行います。習っていなくても、知っている漢字は書いてもいいということにしています。ひらがなだけの文章を漢字に直すには、文脈が読み取れていないとできません。このようなやり方をすると、漢字だけでなく、読み取る力も同時につけられます。ご家庭でも、手作りの問題を作り、子どもに挑戦させてみてはどうでしょうか。家族で一緒にすると、楽しみながらできます。

(2)自問自答の習慣をつける

 授業の内容は理解しているし、ノートもキチンと取っているから、授業がつまらないわけでもないらしい。にもかかわらずテストでは答えに空欄が多いという場合は、問題文の意味を理解していない場合があります。こういうケースは、日常生活で恵まれた環境、例えば困っていたらすぐに手助けしてもらえる、わからないことは質問する前に答えが用意されているという状況下にいる子どもによく見られます。普段から自問自答する習慣をつけて、わからないところは悩み、自分でまず行動を起こさせるようにすることが大切です。

(3)ノートを見ながら教科書を読む

 学校のテストは、「学校で学んだことだけが出題される」、これが基本です。ですから、まずは毎日ノートを開くことを促してください。これだけでもその日学習したことを思い出しますから、立派な復習になります。テスト前にも、ノートを大いに活用させてください。テスト問題には、授業で繰り返しふれたところや、特に力を入れた箇所が出題されます。教科書を読むだけではなかなか集中できないときも、ノートと照らし合わせながら進めていくことで、出題されそうな問題を、ある程度予測できるようになります。