日誌

自己肯定感をつけるには?❹

❹「レジリエンス」を鍛える -強く生きていける「心の筋肉」

逆境や困難、未知のものに直面したときの粘り強さや適応力、へこんでも撥ね返せるような心の復元力を「レジリエンス」と呼びます。レジリエンスは、子どもたちが自立して生きていけるようになるための重要な資質のひとつです。国際ポジティブ心理学会理事のイローナボニウェル博士は、レジリエンスは生まれつきの資質ではなく、筋肉のように鍛えられるといい、「レジリエンスマッスル」というプログラ厶を編み出しました。

いざ逆境や困難に直面したときにレジリエンスを発揮できるよう心の筋肉を日ごろから鍛えておくというトレーニングで、「心の予防接種」とも呼ばれています。

 

「レジリエンスJを鍛えるにはどうすればいい?

(1)「自分を肯定する言葉」を考える(I am マッスル)

ボニウェル博士は、自分の強みを知ることでレジリエンスが生まれるといっています。「私は〜です(I am)」という形で自分の長所、自信を感じるところを言葉にしてみます。「やさしい」「がんばりやさん」「おもしろい」など、子ども自身が考えたり、家族や友だちなどまわりの人にも聞いてみたりします。

(2)「できること」を考える(l canマッスル)

かけっこが一番じゃなくても、勉強が得意ではなくても、「妹や弟と遊べる」「お手伝いができる」「一人で学校へ行ける」など、子どもが「〜できる(I can)」と言えることはたくさんあります。そんな「できること」をひとつずつ、一緒に考えてあげます。できることを「見える化」する作業が、子どもの自信につながります。

(3)「環境」に気づく(l haveマッスル)

「力持ちのお父さん」「おいしいごはんをつくるお母さん」「赤ちゃんのときから大切にしているぬいぐるみ」など、「〜をもっている(l have)」と言えることや、自分が大事にしている人やものを挙げていくことで、自分のいる環境のいいところに目を向けます。

(4)「好きなこと」を思い出す(I likeマッスル)

野球、サッカー、ダンス、歌……子どもが好きだと思えるものはたくさんあります。「自分は〜が好き(I like)」と言えることを子どもと一緒に挙げていきます。好きなものを思い浮かべてポジティブな感情を積み重なると、ドーパミンという脳内ホルモンが分泌されます。ドーパミンは脳を覚醒させるので、逆境や困難に直面しても乗り越えようとする意欲をかき立てます。

(5)「共感」と「信頼」を伝える

東京学芸大学の臨床心理学者、深谷和子名誉教授は、子どもが落ち込んだり、傷ついたりしているとき、親や家族はまずは共感してあげることが大切だといいます。「そうだよね、それはめげるよねJと現状を認めてあげること、そしてその気持ちを理解して受け入れたうえで、「あなたなら大丈夫」と絶対的な信頼感を示してあげることが、子どもにとって励みとなり、どんな状況にあってもたくましく生きていける力につながります。

子どもは自分のつらい気持ちに共感してくれる人から励まされると、「もうちょっとがんばってみよう」と思えるようになるのです。