日誌

算数がわからないことを考える⑤

5 計算ミスを防ぐ方法ってあるの?

ミスをするには、いろいろな要素があります。学んだことが身についていない、テスト中の緊張感で焦ってしまう、体調不良に端を発したケースもあるでしょう。ところが、わからないからではなく、できすぎるからミスをするケースもあります。例えば、「3+2」を「6」と間違ってしまうのは、上級生になってからのことです。頭の中で「3X2」という式がよぎってしまい、それを答えだと勘違いすることがあります。かけ算を習う前や、あるいはかけ算嫌いの子であれば、こういうミスは出ませんね。

子どもの頭の中では、いくつもの数式、いくつもの組み合わせが混在しています。その中から選択するときに、うっかりミスしてしまう可能性もあります。ある程度の知識や思い込みがあるから犯してしまうミスもあるのです。

計算ミスは、誰もがしてしまうものですから、いつまでも引きずらないことも大事です。10問のうち5問を間違えたなら勉強不足ですから、反省しなければなりません。しかし、10問中1問を間違えたからといって問題視することはありません。人間ですからミスもして当然です。「次は、こういうミスをしないようにしよう」と振り返ることのほうが、よほど大事なことです。

ミスは、「しない」ことを目標にするのではなく、「発見すること」を目指しましょう。つまり、チェックする機能をどれだけ持っているか、が重要なのです。例えば「20円の鉛筆を15本買いました。代金はいくら払いましたか?」という問題が出たとして、うっかり「30円」と答えを書いてしまったとします。見た目には「ゼロをひとつ忘れた」という単純ミスに見えるかもしれません。でも、実際に20円の鉛筆を15本も買ったとしたら、「30円しか払わないのはおかしいな」と思うはず。思わないことこそが、問題です。チェック機能が働いていれば、テスト中にミスを発見することもできます。検算をすることも大切です。検算すれば、ある程度のミスは防ぐことはできます。しかし実は、ざっと見直したときに「あれ?」「なんかおかしいな」と思えれば、時間の短縮にもつながります。

ミスは必ず起こるという前提でいいのです。「起こるものだから、ていねいに確かめをする」という考え方にシフトするといいです。

 

計算ミスを減らすためのヒント

テストを受けるときは、程度の差はあれ、どの子どもも緊張しています。緊張のあまりミスをしてしまう子どもも少なくありません。家庭でじっくり時間をかけて考えることも大事ですが、時には本番さながらの条件のもとで、問題に取り組んでみることもお勧めします。予行演習を滞りなく行なえば、落ち着いて本番を迎えられます。

(1)答えを出すまでのプロセスを見る

 計算をするときには筆算は必ず書いて、消さずに残しておくこと。どこでミスをしたのか、プロセスに沿って見直すことができるからです。中でも位取りを間違えてしまうと、せっかく理解しているのに点数に結びつかないという、悲しい思いを繰り返すことになります。ですから、普段からマス目のノートではなく、白紙のノー卜を使うようにします。マス目に頼ると、テストのときにうっかりズレていても気づかなくなってしまうからです。白紙に書く習慣をつけておくと、自分で意識して位取りに注意を払うようになります。

(2)自分で答え合わせをする

テストが返却されたら得点だけをチェックするのではなく、ミスしたところを必ず見直します。見直しは、なぜミスをしたのか、どこでミスをしてしまったのか、そして、ミスをしやすいのはどのような問題なのかを、把握するために行なうものです。自宅で勉強するときも、答え合わせは自分で行なうこと。そして、ミスをしてしまった問題を集めて、再チャレンジしてみましょう。こうして自分の弱点を見つけ、その弱点を一つずつ潰していくようにすれば、次のテストには自信をもって臨めます。

(3)時間を決めて簡単な問題から解く

学校では、計算ミスを防ぐためのトレーニングとして、100問の問題を解かせることがあります。易しい問題から難問までとりまぜて、どの問題から解いてもいいとします。制限時間は決めますが、時間内ですべて解くことは不可能です。ただしどの問題も配点はすべて同じ。簡単な問題から解いて いったほうが当然有利ですから、100問をざっと見渡して、簡単な問題を見つけ出して解き始めます。

これは、テスト中にミスを見つけるための、とてもいいトレーニ ングになります。家庭でも挑戦してみてください。