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自己肯定感をつけるには?⓭

⓭「家族旅行」をする  -成長に大切な非日常体験

旅行は、日常では出会えない人と出会い、自然、歴史、芸術、文化など「本物」に触れ、五感を使って「非日常」を体験することで、子どもの視野が大きく広がる機会です。東洋大学国際観光学部の森下晶美教授によると、子どものころに家族旅行の経験が多い人は、成人後も、コミュニケーションや社会性、思いやりなどの点で自己肯定感が高いという傾向が明らかになっています。観光庁の調査でも、子ども時代の旅行回数が多いほど、その旅行経験が「いまの自分に役立っている」と感じている人が多いと報告されています

「家族旅行」をするにはどうすればいい?

(1)テーマを決める

旅を通じて育つ「旅育」という考えを提唱し、子どもの成長に旅行をどう役立てるかを紹介している旅行ジャーナリストの村田和子氏は、家族旅行に「テーマ」を設定することを勧めています。その際、子どもの年齢や成長に合わせた内容を選ぶこと、興味がなさそうなら無理をせず機会を改めることがポイントだといいます。日常で子どもが興味をもっていることを手がかりにしたり、親子で一緒に初めての経験にチャレンジしたりするなど、子どもが自分から進んで関われるテーマを考えます。

「寝台列車に乗る」「化石の発掘体験をする」「牧場で乳搾りをする」「カヤックに挑戦する」「高山植物を見る」など、さまざまなテーマが考えられます。

(2)作戦会議をする

オランダ・エラスムス大学の調査によると、旅行へ行く際に最も幸福度が高まるのは旅行の計画を立てているときだそうです。子どもを連れていくだけの旅行ではなく、家族それぞれが行きたい場所、やりたいことを持ち寄り、話し合うことを村田氏は勧めています。子どもがまだ低学年で、自分で案を出せないとき親が予算や日程を踏まえた案を複数用意し、子どもに選ばせます。その際、選んだ理由を子どもからしっかり引き出すことも大切だと村田氏はいっています。

(3)一緒に準備をする

旅先で何が必要か、何をしようかと親子で話しながら準備をすると、想像力が養われます。村田氏の家庭では、電車の乗り換えを調ベて案内をする「案内係」、お土産の予算管理をする「会計係」などの役割を決めていたそうです。子どもに役割をまかせると、自然に主体性が身についていきます。

(4)移動時間にコミュニケーションを深める

旅行には移動がつきものですが、子どもは三半規管が弱いため、近いところばかり見ていると酔いやすくなります。

家族旅行にはゲー厶機は持参せず外の景色を楽しんだり、おしゃべりをするなど、コミュニケーションを深める時間に充てると、家族旅行の充実感が一層アップします。

(5)思い出を記録に残す

思い出を記録に残すと、旅行をふりかえりやすくなります。村田氏は、旅の記録として、家族でひと言ずつしたためたハガキを旅先から自宅に送っていたそうです。数年して見返すと、ひらがなから漢字まじりへ変わる子どもの文字に成長を感じるといいます。子ども自身にとっても、記録があればそれを見返すことをきっかけに旅行の記憶をよみがえらせることができ、楽しい思い出が心の成長を後押ししてくれます。