日誌

体力をつけるためには?⓬

⓬「スポーツ」をする ―マルチな競技をのびのび楽しむ

 外遊びの時間や場所が減り、子どもの体力の低下が叫ばれる一方で、幼いころからスポーツに打ち込み、プロをめざすような子もたくさんいます。最近ではさまざまな競技で、世界を舞台に活躍する日本人選手が増えてきたこともあって、夢をふくらませる子どもも多いでしよう。ところが、同じ動作のくりかえしなどが原因の「オーバーユース」によって、骨や筋肉や靱帯などを痛めてしまう「スポーツ障害」が問題になっています。子どものスポーツ障害にくわしい村瀬正昭医師は、「子どもの骨の強さは70歳、80歳の高齢者と同じ。小学校低学年の筋肉はもっと弱いので、大人より注意が必要」と警鐘を鳴らします。

 成長期の骨には骨を長く成長させるために重要な「成長軟骨」というものがあり、このやわらかい骨の層にハードな練習で負担がくりかえし加わると、障害が出てくるのだそうです。炎症を起こしたり、骨がはがれたり折れたりしてしまうこともあります。適切な治療が遅れるとそのまま固まって元に戻らなくなり、 大人になっても痛みに悩まされる人もいます。とくに身長が伸びている時期は、骨がまだやわらかいため、ケガを予防するには、負担の大きい無理な練習をさせないことが大切です。

うまく「スポーツ」をするにはどうすればいい?

(1)さまざまな競技を楽しむ

 欧米の子どもには、野球、サッカー、バス ケットボールなど、季節ごとに競技を変える「マルチスポーツ」が定着しています。さまざまな種目を体験することで、隠れた可能性を見つける機会を増やすだけでなく、さまざまな体の部位を使うことでバランスのよい体づくりができるからです。メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手は、小学校時代に野球だけでなく水泳も習っていたことが、関節の柔軟さにつながっているといわれています。マルチスポーツのメリットには注目が集まっています。

(2)オーバーユースに気をつける

 村瀬医師は、オーバーユースを防ぐために、毎日違うことをするよう勧めています。たとえば野球をしているなら、今日走りこんだら、翌日は素振りをして上半身を使う、違うポジションでやってみる、右打ちも左打ちもやる、といった具合です。

(3)スポーツの前後にストレッチをする

 成長途中のやわらかい骨を守り、筋肉や靱帯などの筋を痛めないためには、スポーツの前後に必ずストレッチをやるようにします。ラジオ体操は、運動前に行なうと筋肉が温まって体がやわらかくなり、血行がよくなります。運動後は疲れた筋肉に乳酸などの疲労物質がたまっているので、深い呼吸とともにストレッチをして、ゆっくりとクールダウンします。

(4)筋肉の炎症にはアイシング

 冷やすことは、筋肉の炎症を抑えて回復を早めるために有効です。炎症やケガのダメージを抑える方法として「RICE」と呼ばれる処置が知られています。まずは安静にし(Rest)、氷で患部を冷やし(Ice)、腫れているときは軽く圧を加えて(Compression)包帯を卷き、20分間ほど患部を心臓より高い位置に上げます(Elevation)。RICEは、捻挫や打撲のときの応急処置としても不可欠です。