日誌

算数がわからないことを考える①

 今週は算数でつまずかないようにするための留意することを考えていきます。
1 かけ算でつまずくのはなぜ?

算数を勉強していくにあたっては、幾度とない関門が待ち構えています。第一の関門は『繰り上がり』です。今までは10本の指で数えることができたのに、それができなくなることの衝撃はとても大きいのです。自分のまわりでは10という数を超えるものを目にする機会があまりありません。手や足は2本、家族は4人、おやつの飴は5個といった具合です。ですから見慣れない数字に戸惑ってしまいます。大人は「12」と言われると、「102」と理解できますが、習いたての子どもは、「10」の次は「11」という数、「11」の次が「12」という捉え方をします。わかりやすく図解しながら理解を深めていくといいでしょう。

そして第二の関門が『かけ算』です。子どもたちの生活の中では、数を加法的に捉えることがほとんどです。例えば、「イチゴをもう1つちょうだい(+1)」、あるいは「お姉ちゃんのお小遣いは、僕より100円多い(+100)」のように、数は増えていくもの、時には減っていくものなのです。あるとき突然現れる『かけ算』は、記号のカタチは似ているのに、同じやり方で計算すると答えが間違ってしまう。「よくわからない」から「わかるようになりたい」と思えれば成功なのですが、「よくわからない」はやがて「つまらない」、そして「算数なんて嫌い」とつながっていくこともあります。

また、『かけ算』のなんたるかを理解していないうちに『九九』を暗記させられることが、子どもたちの負担になっている場合もあるでしょう。実際に「こんなにたくさん覚えきれない」と、初めから投げ出してしまう子どももいます。なかなか覚えないからといって、急がせたり、責めたりするのはタブー。『かけ算』を「苦手なもの」「嫌いなもの」にさせないようにしましょう。

25回足していくよりも『2×5』を覚えれば、あっという間に答えが出る」というように、かけ算を使えば便利になることを話してあげるといいですね。また、『九九』の練習を勉強としてではなく、リズム遊びとして楽しんだり、2の段を言い終わるまでのスピードを計ったりと、遊びとして親子一緒に楽しむのも、『九九』に興味を持つきっかけになるでしょう

 

かけ算を覚えるためのヒント

「やらされている」と感じるとき、人はモチベーションが下がります。それは子どもでも大人でも同じです。家庭では、学校のようにきちんと椅子に座って勉強の態勢を作るのではなく、ある程度の準備をしてあげるだけで充分です。子どもが自分から「やってみたい」という気持ちにさせるのがコツです。

(1)日常生活の中で、かけ算にできそうなものを見つける

日常生活の中では、かけ算を使うチャンスがたくさんあります。例えば、休日に家族4人で公園に出かけるとします。お母さんはみんなのおにぎりを作ります。こんなときは「13個ずつね。お母さんはいくつ作ればいいと思う? 「1,2,3…」と数え始めても、それをさえぎらずに最後まで数えさせます。「わかった!12個だよ」と答えたら、「正解!」と褒めてあげて、それから「もっと簡単に数えられる方法があるんだよ」と、かけ算の便利さを教えてあげましよう。

(2)数の多いものは「2とび、5とび、10とび」で数える

数の多いものを数えるときには、2個ずつ、あるいは5個ずつ分けながら数えていく方法があります。これを、目の前でやってみせると、興味字持つようになります。貯金箱に集まった10円玉をテーブルの上に広げて、「全部でいくらになるか数えてみようか」と誘い、5個ずつ分けてきます。「5個の塊が7つできたから、全部で350円だね」と言ったとき、「どうしてすぐにわかったの?」と聞いてくればしめたもの。「これがかけ算の魔法だよ」と、ちょっと自慢してみてください。

(3)九九バージョンのカードゲー厶で遊ぶ

手作りの九九カードを一緒に作って、遊びながら覚えていく方法もあります。かけ算の式と答えを、表と裏に書いたカードを作ります。まず、式が書かれた側を上に向けてすべてのカードを広げます。読み役の人が答えを言い、その数が答えになる式のカードを取る。これが『かけ算カルタ』です。同じようにカードを広げ、裏に書いてある答えが同じになるものを取っていく『かけ算神経衰弱』という遊びもあります。取った数を家族で競うことで、自然に『九九』が身につく遊びです。