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創造力をつけるためには?⓫

⓫「本」で囲む  -読書は地頭をよくする万能の習慣

読書の習慣は、世界中の一流のリーダーに共通する特徴のひとつです。本は仕事に役立つ情報や新しいアイデアを生むための「知恵」を与えてくれます。子どもにとっても、本は視野を広げる大切な道具です。読書を通じて、魅力的な人物にたくさん出会い、新しい興味を見つけ、ワクワクします。そうして読書は想像力や創造力の基盤になりますが、その他にもさまざまな力が養われます。

ひとつは「読解力」です。本を読むか読まないかの差は、幼いときはあまり目立たないものの、年齢とともに少しずつ大きくなっていきます。トロント大学の心理学者、キース・スタノヴィッチ名誉教授は、読書においても「マタイ効果」が存在するといいます。マタイ効果とは聖書の一節になぞらえたもので、「富める者は富み、奪われるものはますます奪われる」という現象です。成長とともに、読書をすればするほど理解力が高まる子どもがいる一方、読書をしないためにどんどん理解力が追いつかなくなる子どももおり、その差は広がっていきます。

また、「語彙力」も発達します。ベネッセ・コーポレーションの語彙調査によると、高校生、大学生とも、読書が好きかどうかと読書量の多さは、語彙力との関連が非常に強いことがわかっています。読害量が増えると語彙が増え、理解力が高まり、本が好きになり、さらに読書量が増えるという好循環が生まれます。

さらに、「思いやり」も育まれます。国立青少年教育振興機構が2013年に行なった「子どもの読書活動の実態とその影響・効果に関する調査研究」によると、子どものころの読書活動が多いほど「できれば、社会や人のためになる仕事をしたいと思う」「電車やバスに乗ったとき、お年寄りや体の不自由な人に席をゆずろうと思う」といった意識が髙い傾向が見られました。

 

「本好き」にするにはどうすればいい?

(1)リビングに本棚を置く

世界に1400万人ほどしかいないにもかかわらずアインシュタインのような天才や、スターバックス、グーグル、フェイスブックの創業者を輩出、さらにはノーベル賞受賞者の約22%を占めてきたユダヤ人。迫害がくりかえされる中、彼らはどこへ行っても決して盗まれることのない「頭脳」を大切に育ててきたといわれています。

国際教養大学のアンドリュー・J・サター特任教授は、ユダヤ人の多くの家庭には、リビングなど家族が集まる場所に本棚があるといっています。上のほうには大人の本、下のほうには百科事典や図鑑、辞書など、子どもが自分で調べられる本を置いておき、わからないことがあれば一緒に調べるのだそうです。

また、リビングのほかにも、寝室や廊下など、自然と子どもの目にとまるところに本を置いておくと、いつでも気の向くままに手にとって読むことができます。

(2)読み聞かせをする

『魔法の読みきかせ』の著者、ジム・トレリースによると、子どもは中学2年生くらいまで、読む力が聞く力に追いつかないといいます。大人に読み聞かせてもらい、「わかった!」「面白かった!」という体験をすることが、もっと読みたいという気持ちにつながります。

(3)親が本を読む

厚生労働省が小学2年生とその親を対象にした調査によると、子どもが1か月に読む本の冊数は、両親が読む本の冊数にほぼ比例していることがわかりました。また、ベネッセの調査では、1か月に紙の本や電子書籍を3冊以上読むという人に、読書が好きになったきっかけを聞いたところ、「子どものころに、本を読み聞かせてもらったこと」「身近な人が本好きだったこと」との回答が最も多く選ばれました。両親が本を読む家庭では、子どもが読書好きになる傾向にあるようです。