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思考力をつけるためには?❿

❿「男女の違い」に対応する  ―特徴を知って能力を伸ばす

人間の脳には右脳と左脳があります。左脳は主に言語表現や論理的思考をつかさどり、分析的な役割をします。右脳は主にイメージの認識や空間の把握、直感やひらめき、想像力をつかさどり、情緒的な役割を担います。脳の発達でみると、男の子は男性ホルモンの影響によって成長ホルモンが抑制されるため、体と脳の成熟が一時的に抑えられます。そのため、男の子のほうが女の子より脳の成熟が遅いことがわかっています

女の子は左脳が早く成熟し、脳の左右のバランスを取るために両脳をつなぐ脳梁も男の子より太くなります。一方で男の子は女の子に比べて左脳の発達が遅く、右脳が発達していきます。そのため、女の子は言語能力に優れ、器用でさまざまなことを同時にこなせる要領のよさがあり、男の子はひとつのことに集中して取り組み、図形や空間認識が得意な傾向にあります。もちろん得意不得意は個人差によるものが大きいですが、子どもの場合はこうした男女の脳の発達の違いから生まれていることもあります。それぞれの特徴を理解しておくと、子ども能力を無理なく伸ばすことができます。

 

うまく「男女の違い」に対応するにはどうすればいい?

(1)男の子は、たくさんしゃべらせる

男の子は言語表現をつかさどる左脳の発達が女の子に比べて遅くなります。男の子に話しかけてもいつも答えがひと言うだけ、という感じでも、発達面では自然なことなのです。そこで男の子にはオープン・クエスチョンで質問してたくさんしゃべらせ、大人は聞き役に徹します。男子の教育に詳しい開成中学高校の柳沢幸雄前校長は「言いたいことを伝えられるのは、『言葉ではなく論理』。論理を理解する基盤を育てるには、子どもがセンテンス(文章)を最後までしゃべり終えるようにうながすこと」といっています(『男の子を伸ばす母親が10歳までしていること』朝日新聞出版)

(2)女の子は、自信をつけてあげる

女の子は男の子に比べて左右の脳がバランスよく発達するので、さまざまなことを同時に器用にこなすことが得意です。いっぽう、そのバランスを崩さないように失敗を避け、周囲の期待に応えようと生真面目にがんばりすぎる傾向があります。女の子には、まず家庭をなんでも話せる安全な場所にすること、そしてスモールステップで成功体験を積ませることで、自信をつけてあげます。女の子でも十分に自信がついてリミッターが外れれば、柔軟で型破りな発想が生まれてくるようになります。

(3)先入観を押しつけない

男女別学のほうが共学よりも成績がよいだけでなく、科目選択や「やればできる」と自信がもてる自己効力感にも好影響があるという調査結果が世界各地で報告されています。理由としては「男子は理系、女子は文系」といった先入観を押しつけられないこと、異性の目を気にすることなく好きな学問や趣味に没頭できることなどが挙げられます。男女の脳は、発達の速さに差はあるものの、世間で通説としていわれているほどその差はまだ明らかにはなっていないようです。「男の子(女の子)だから……」というのではなく、その子の個性を損なわないように成長を見守ることが大切です。