日誌

子どものつまずきを考える⑭ なぜ友だちを怒らせることを言うの?

14 なぜ友だちを怒らせるようなことばかり言うの?
 言葉は最初、家族の会話から学んでいきます。しかし、日常の言葉の使い方、幼い頃からの友だちづきあいの中で自然に身についていくものです。成長に伴って関わり合いをも変化していくわけですから、子どもたちは子どもたちと接することで互いに学び合っていることになります。もし、子ども同士で遊ぶ機会が少なかったり、大人の中で大人の会話しか聞かないまま育ってきたりしたら、友だちづきあいをするのにふさわしい言葉を上手に使えないこともあります。
 しかし集団生活や学校生活は、言葉の使い方や選び方を学ぶためには、最高の環境にあります。積極的に会話をすることでだんだんに磨かれていくからです。とはいっても、子ども同士のことですから、友だちとの争いごとが起こってしまったり、本人が意図的ではないにしろ友だちを怒らせたり傷つけたりすることもあるかもしれません。だからといって関わり合いを控えるのではなく、いろいろなシチュエーションの中で会話の経験を積んでいくべきだと思います。
 例えば、子ども同士でトラブルが発生したとします。どちらかに最初の非があるにしても、双方にはそれぞれ言い分があります。どちらかが100%責任を負わなければならないということはありません。ところが、互いに自分を正当化するために相手に非があると主張するため、二人の言い争いは過熱していくのです。クラスメートが周囲にいますが、当初二人には目に入りませんが、やがてどこからか声が聞こえてきます。「もうそのへんでやめておいたら?」「二人とも熱くなりすぎだよ」「原因は何だったの?」と。二人はそこでいったん冷静になり、ギャラリーたちの忠告や分析によって、何が相手を怒らせてしまったのか、自分は相手の何に対して怒ったのかが、だんだんわかってきます。トラブルを起こした二人だけではなく、教室の子どもたちはこの経験によって、いろいろなことを学ぶことができます。

 誰かにお願いするときに、「これやっといて」「できるでしょ?」「よろしくね。頼んだわよ」と、相手の都合や気持ちを無視して押しつけてくる大人もいます。友だちとの触れ合い、悩み、争い、和解し、親睦を深めるといった経験を積み学んできたなら、このような言い方はできないはずです。子どもたちには、学校生活や家庭において、こういうことを学んで大人になって欲しいと思っています。