日誌

算数がわからないことを考える⑧

8 どうしてテスト本番で力が出せないの?

授業の内容を本当に理解できていないためにテストで点数が取れないのであれば、できないことを繰り返し復習していくしかありません。しかし中には「わかっているはずなのに、テストになると点が取れない」という子どももいます。特に多いのが「家でやるときはできるのに、テストになると点が取れない」というケース。このケースは、家庭でお母さんが、つきっきりで勉強を見てあげている子どもに多く見受けられます。確かに口出しはせず、子どもが自力で問題を解いているのかもしれません。しかし、子どもはそばにいるお母さんの反応を見ています。

問題を解いている最中に、お母さんが「あっ!」と声を出したり顔をしかめたりすれば、「あれ?間違ったかな」と思ってやり直す。それを見てお母さんは「よしよし、自分で間違いに気付いたな」と思うかもしれませんが、実はそこで一度チェックが入っているわけです。つまり、完全に自分一人で解いていることにはなりません。親が見ていてくれれば、子どもは確かに心強いでしょう。もちろん、場含によっては功を奏することもありますが、逆に、テストで高得点を取れない原因になってしまうこともあります。子どもを見守っているのか、それとも監視しているのか。そこには大きな違いがあります。

また、勉強時間(机の前に座つている時間)が長い子どもの場合は、解くスピードに問題を抱えている場合があります。スピードを意識しすぎてミスを連発してしまう子ども、また、一つの問題を解くのに時間がかかり過ぎて、途中でタイムアップを余儀なくされてしまう子ども、いずれもテストの高得点には結びつきません。

もちろん「この子のペースでじっくりやれればいい」と見守ってあげるのもいいと思います。しかし、テストの点数次第でモチベーションが上がったり下がったりするタイプの子どもであれば、テストと同じような緊張感の中で、制限時間や分量を決めて取り組ませたほうがいいでしょう。ただ、点数だけにこだわりすぎると、子どもの弱点ばかりに目が行きがちです。もし80点を取ってきたら、まずは「すごいね、頑張つたね」と褒めてあげてください。「〇〇君は何点だったの?」とか、「どこをミスしたの?」といった追及は封印しましょう。

 

算数のテストでうまくいくヒント

学校テストの目的は、順位をつけるためではなく、点数を稼いでほしいからでもなく、授業の内容を理解できているかどうかを子ども自身が知るためです。もちろん高得点を取るために努力することも大事ですが、それよりも「できなかった問題=自分の弱点」と捉え、学習方法を見直すきっかけにすることが大切なのです。

(1)一人の力で問題を解く習慣をつける

お母さんのそばで勉強する場合は、お母さんの立ち位置に注意が必要です。もしかしたらお母さんは、「私は見ているだけで、一切ロは出していません」とおっしゃるかもしれません。たとえロに出さなくても、態度や表情で「〇」か「X」かのサインを出していないでしょうか。自分ではわからないうちに、お子さんにプレッシャーを与えていないでしょうか。子どもが勉強に取り組んでいる時は、静かに見守ってあげましょう。そして、すべてを自力でやり遂げた時に、心おきなく褒めてあげてください。

(2)制限時間を決めて、解く速さを身につける

テストでいい結果を出せないときは、問題を解くときにかかる時間に注目してみましょう。1問解くのに、長時間かかっていないでしょうか?子どもには、それぞれのペースがあるかもしれませんが、実際のテストには、制限時間があります。時間内に解けなければ、たとえ正解できていても「解けなかった」と評価されてしまうのです。じっくりと時間をかけて問題に取り組むタイプの子どもは、おそらく実力はあるはずです。テスト前には制限時間を決めて、速く解く練習をしておくのがいいでしょう。

(3)自宅学習でも採点は厳しく

自分に甘い点数をつけるタイプの子どももいます。「このくらいのミスならミスじゃない」と自分に0Kを出してしまうのです。楽観的な性格で、日常生活ではむしろ好ましいのかもしれませんが、テストで点を取るには、自分に厳しい態度で臨むとよいでしょう。間違いに対し「どこで間違えてしまったのだろうか」と点検し、まずは原因を明らかにすることから始めます。単純な計算ミスなのか、大事なポイントを見逃してしまったのか…。家庭学習でもこうして厳しくチェックしておけば、ほとんどのミスは防ぐことができるものです。