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思考力をつけるためには?⓫

⓫「子ども扱い」しない  ―子どもに「敬意」をもつとは?

ベストセラー『嫌われる勇気』( ダイヤモンド社)で知られるアドラー心理学。オーストリア出身の精神科医で心理学者のアルフレッドアドラーは軍医として戦争の悲惨さを体験し、賞罰や叱責、暴力という手段を使わない問題解決を考えられる人を育てたいと、独自の教育理論や療法を編み出しました。その基本は「人間はすべて平等であり、大人も子どもも対等である」という考えにあります。アドラーは子どもを勇気づけ、「私には能力がある」「私は認められている」と感じられる心を育てることをめざしたのです。

 

子どもを「対等」に扱う

大人の指示に従わせてばかりいると、その子どもは大人に頼る癖がついてしまい、いつまでも自立できなくなってしまいます。子ども扱いせず対等に向き合うことで、子どもは自分の頭で考え、行動する力を身につけていくことができます。

 

「子ども扱い」しないためにはどうすればいい?

(1)課題を「分離」する

親は子どもに対して「絶対〇〇がいい」「××すべきだ」といった言葉づかいをしてしまうことがありますが、これは親が心配のあまり、子どもの課題に口出しをしてしいる状態だとアドラーはいいます。そして、親の課題と子どもの課題は「分離すべき」だとし、子どものためだと言いながら、本当は親自身が安心するためにやることを「自己欺瞞」と呼びました。子どもの課題は、本来は子どもが自分の力で解決すべきこと。子どもを信頼してまかせてみて、自分で解決できれば、子どもは自分に能力があると感じられるようになります。

(2)子どもの考えに敬意をもつ

子どもには大人とは違う視点、大人にはない発想力があり、実際に子どもから教わることは意外と多いものです。「親は子どもより上」という固定観念では、子どもの柔軟な思考力を伸ばすことはできません。子どもの意見や考えだからといって、真剣に聞かずに受け流したりせず、敬意をもって耳を傾けることが大切です。子どもにたくさん話をさせ、じっくりと聞いてあげると、子どもは「自分は認められている」と実感して、自分の考えに自信をもつことができます。

(3)言葉づかいに気をつける

子どもに対して言葉づかいを丁寧にすると、命令したり従わせようとしたりする表現にならず、感情的になってこじれることが少なくなります。

(4)大人が自分の感情に気づく

子どもに対して怒りや不安、心配といったマイナスの感情があると、子どもを恐れさせたり、言うことを無理に聞かせようとしたりしてしまいます。マイナスの感情からは、「何回言ったらわかるの」「いいから〇〇しなさい」「✕✕に決まっているじゃない」といった命令や、反論の余地がない強い言葉が生まれ、「親が上で子ども下」という一方的な関係性が強く出てしまいます

親は自分のマイナスの感情に気づいたなら、場所を変えるなどしてクールダウンし、「自分は子どもの課題に干渉しているだけではないか」「もっと子どもの気持ちに歩み寄れないか」と冷静に考えてみます。