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思考力をつけるためには?⓬

⓬「思考」を掘り下げる -「デザイン思考」を体験する

変化の激しいこれからの時代に生きていく子どもたちには、さまざまな場面で問いを掘り下げ、ときどきのニーズに合った新しいものを生み出していく、柔軟な思考力が求められます。そこで注目されているのが「デザイン思考」です。この方法は、もともとはデザイナーが使っていた手法を活用したものです。人々の日常を観察する中で自分なりの問いを立て、仮説を考え、仮説をすぐ簡単な試作品に落とし込み、感想や意見を聞きながら改良を重ねていくという、スピーディなものづくりの考え方です。

デザイン的思考が生み出した有名な事例がiPodです。人々がどのように音楽を聴いているかを観察した結果、「すべての音楽をポケットに入れて持ち運ぶ」というコンセプトが生まれ、何度も試作をくりかえして世界的なヒット商品となりました。このデザイン思考を子どもたちに体験させるキュリオ・スクールの代表、西山恵太氏は「子どもたちはデザイン思考を体験することによって『答えがないのは当たり前』『答えは自分でつくるんだ』というマインドになっていくといいます。

身近なもので好奇心をくすぐり、問ぃかけるだけで、子どもたちからはたくさんアイデアが出てくるそうです。さまざまなオープンクエスチョンの問ぃかけと対話を通じて思考を掘り下げてぃくことで、自分なりの答えをつくる力が育つのです。

 

 「思考を掘り下げる」にはどうすればいい?

(1)身近なもので「お題」を見つける

思考を掘り下げるには“お題”が必要です。子ども自身がお題を思いつかない場合は、大人が代わりに考えます。コンビニに並んでいるさまざまなペットボトルの形、街で見かける企業のロゴ……近所を散歩しているだけで、いろんなお題が見つかります。西山氏によると「なぜ、誰のために、それがつくられたんだろうね」「どういう意味があるんだろうね」などと問いかけるだけで、子どもはどんどん思考を掘り下げていくことができるといいます。

(2)自分でアイデアを考えさせる

どうしても子どもは“正解”を知りたがります。ですがそこは、「パパ(ママ)もわからないんだよね。なんでだろうね?」と共感するにとどめます。「他にも方法はない?」などと聞いていくと、自分から調べたり、悩んだりしながら、自分なりのアイデアを考えるようになります

(3)アイデアを形にする

デザイン思考で大事なプロセスは、まずは試しにつくってみることです。思考を掘り下げた結果、見えてきたことをアイデアの入り口にして、自分のロゴマークをつくってみるなど、簡単なお絵かきや工作で、子ども自身のアイデアを形にすると、考える力や想像力が養われます。

(4)言い換えて確認する

子どものアイデアや発言がピント外れだなと感じても、否定せずにそのまま受け入れます。子どもは一度否定されると、その後安心して発言できなくなってしまうからです。否定する代わりに、「それってこうことかな?」と、別の表現で言い換えてあげます。「見当違いに見えることでも、とっては表現力が足りないだけで、本質的なこととつながっている場合がよくある」と西山氏はいいます。「それは間違っている」「こっちが正しい」と伝えるほうが簡単ですが、言い換えて確認してあげることで、考えを掘り下げさせるだけでなく、語彙や表現を豊かにすることもできます。