日誌

創造力をつけるためには?❹

❹「ゲー厶」とつきあう  -ゲー厶をコミュニケーションに生かす

時間を忘れてのめりこむ子どもが多く、もっぱら恨まれ役のゲー厶(テレビゲーム、コンピュータゲー厶)ですが、世界ではその教育効果が研究され、さまざまなメリットも明らかになってきています。たとえば「マインクラフト」というゲー厶は、世界中の教育現場ですでに幅広く活用されています。レゴのようなブロックを使い、好きなものをつくっていくゲー厶ですが、レゴと違ってつくったものを自由に動かせる楽しさがあります。さらに自分独自の世界をつくっていく過程で、木を切る斧や土を掘るスコップなどの道具をつくったり、効率的に材料を集める方法を考えたりするなど、さまざまな発想を生み出す創造力や問題解決力が身につくといわれています。

また、世代を問わず人気の高いアクションゲー厶については、スイスジュネーブ大学の神経心理学者、ダフネバヴェリア教授が、集中力や計画性、批判的思考力、反射神経、立体の認知能力(頭の中に思い描いた物体を回転させる力)などを強化する効果をもたらすとしています。アメリカではゲー厶開発者と教育の専門家が連携し、ゲー厶学習を基本にした学校づくりもすでに行なわれています。ゲー厶と教育に関する研究にくわしい、東京大学大学院情報学環の藤本徹講師は、「親がゲー厶を漠然と不安視するよりも、むしろ積極的に関わることで、子どもは依存に陥ることなく、ゲームがもたらすよい影響を受けることができる」といっています。

 

「ゲー厶」とうまくつきあうにはどうすればいい?

(1)親の目の届く場所でやる

親の目が行き届く場所で、子どもがゲー厶をしている状態をしっかりと見守るようにします。「端末は自分の部屋に持ち込まない」「端末と充電器はリビングに置き場を決める」というルールを徹底します。

(2)レーティングを活用する

ゲー厶には、暴力的、性的なシーンが含まれることがあり、子どもには不適切なものも数多くあります。特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)という組織が、ゲー厶ソフトの表現内容にもとづいて対象年齢等を表示しているので、子どものゲー厶を選ぶ際はCERO A (全年齡対象) という、最も基準が厳しいものを選ぶようにします。

(3)課金ゲー厶に注意する

オンラインゲー厶やスマホゲー厶では、無料とうたいながら、射幸心をあおってアイテ厶を買わせるようなものがあります。子どもが親のスマートフォンやタブレットを使ってゲー厶をしていると、気づかないうちに課金してしまうこともあるので、注意が必要です。

(4)あえてゲー厶の話をする

藤本講師は「野球やサッカーのことは親子で気さくに会話をするのに、ゲー厶については親自身が興味ないからと話題にものぼらない。ゲー厶にまつわる親子の不和は、こうしたコミュニケーション不足から起こることが多い」と指摘します。

積極的にゲー厶を話題にしたり、親が子どもにゲー厶を教えてもらったり、実際に体験してみるなど、ゲー厶は親子のコミュニケーションツールとして活用できます。すると子どもは親との信頼関係が強まったと実感し、自主的に時間をコントロールするなど、自律心が芽生えるようになります。

(5)「ゲー厶をやりなさいJと言ってみる

子どもが約束を守らずゲー厶をやめないようなときには、怒りのあまりゲー厶自体を禁止してしまうことがあります。ですが人間には、ダメと禁止されるとかえって興味が高まり、逆の行動に走りたくなるという心理現象があり、「カリギュラ効果」と呼ばれています。つまり、ゲー厶を禁止されるよりも、ゲー厶を毎日強制されたり、やり方にいちいちロ出しをされたりするほうが、かえって興味をなくしてしまうこともあるのです。藤本講師は「親は子どもがゲームをしている姿にばかり注意が向いてしまうが、子どもなりに忙しくがんばっている一日の中で、ひとつの息抜きの時間としてゲームを楽しんでいる。厳しく制限すると、かえってこっそりゲー厶をしようという行動につながりやすい。むしろ、『宿題や家の手伝いをきちんとやった後でなら、気がすむまでゲー厶で遊んでよい』といったルールにするほうが、自分でゲームとの付き合い方を工夫するような望ましい行動をうながすことができる」といっています。