日誌

創造力をつけるためには?⓬

⓬「落書き」をする  一脳の非集中モードで創造力がアップ

子どもは落書きの天才です。小さなころは壁や床、小学校に入るころには教科書やノー卜にも……。落書き=いたずら、というイメージがあるかもしれません。じつはいま、落書きが脳をリラックスさせ、創造力を発揮できる方法のひとつであることがわかってきています。落書きによって脳がリラックス、つまり非集中の状態になると、「脳の扁桃体の活性化が抑えられ、前頭極が活性化し、創造力が高まる」と、ハーバード大学の精神医学者、スリニ・ピレイ臨床准教授はいっています (『ハーバード×脳科学でわかった究極の思考法』ダイヤモンド社)。落書きは、意識の壁を壊し、無意識の自己を呼び覚ましてくれる大事な時間なのです。

 

のびのびと「落書き」をするにはどうすればいい?

(1)壁一面を落書きスペースにする

ウォオールステッカーといって、壁一面を黒板やホワイトボードにできる便利な壁紙が手頃な値段で売られています。黒板はインテリアとしては深い緑が目にやさしく、部屋が落ち着いた感じになる反面、チョークの粉が部屋を汚してしまうのではないかとの心配もありますが、最近では粉が飛ばないチョークもあります。

ホワイトボードは発色がきれいですが、専用のペンがチョークよりも割高で、洋服についたときに落ちにくいことも。それぞれメリット、デメリットがあるものの、どちらを選んでも子どもにとっては間違いなく楽しい空間になります。

(2)消せるマーカーやクレヨンを使う

壁を落書きスペースにすることが難しい場合でも、「キットパス」という、ガラスに書いても濡れた布で消せる優れもののペンがあり、子どもは窓ガラスに思い切り落書きができます。また、濡れた壁に書けるタイプもあり、お風呂の中でも落書きができます。

(3)『らくがき絵本』シリーズを使う

『らくがき絵本』(ブロンズ新社)は、「らくがきこそが絵のはじまり」と、絵本作家の五味太郎さんがつくった絵本シリーズで、世界中で楽しまれています。空っぽのお鍋やでこぼこ道、こんな音のする絵を描こうとか、気の毒な犬を描こうとか、落書きをするためのユニークなテーマがたっぷりあり、子どもと一緒に大人も創造力が弾ける内容になっています。

(4)落書き好きは大成する

ピレイ准教授は、2007年までの44人のアメリカ大統領のうち、26人は落書き好きだったといっています。大統領のように、同時に複数の重要な仕事をこなさなければならない場合でも、落書きのような非集中の時間をとることで、時間の使い方がずっと効率的になることがわかっています。

たとえばグーグルのような企業が、社員にゲー厶やスポーツ、ジムの設備を提供しているのは、そうした根拠があるからです。落書きを通じて脳をリラックスさせたり、ふたたびギアを集中モードにしたりという脳内の切り替えが子どものころから育まれると、創造力や思考力などが高まるといえます。