日誌

国語がよくわかっていないことを考える③

3 質問の意味わかっている?

「質問をしているのに、的はずれな答えばかりする」「こっちの言いたいことの意味がわかっていない」という憤りの声を聞くことがあります。なぜこのような、すれ違いのような現象が起きてしまうかといえば、思考の文脈が、大人と子どもとはまだ異なるからです。

小学生になると、それまでの幼さが影を潜めて、大人っぽい口調になったり、面と向かって反抗的な態度をとったりするようにもなります。そのため、ロでは「子どものくせに」と言いながらも、無意識のうちに「大人として」扱うようになるものです。ですから、自分の言いたいことを察してくれなかつたり、予想した答えが返ってこなかったりすると、驚くでもなく、困るでもなく、なぜか怒ってしまうのです。

でも思い出してみてください。子どもが言葉を覚え始めて、やっと会話らしいやり取りができるようになった頃は、ただただ嬉しさでいっぱいだったはずです。お母さんの言葉を理解できないのがわかっていても、一生懸命に話しかけていたでしょうし、少しでも理解できれば、「えらいね」と手放しで喜んだことでしょう。子どものロから、輝くような言葉やフレーズが飛び出したときには、その子どもらしい独特の感性に感心したり、癒されたりしたのではないでしょうか?

あの頃から数えても、そんなに時間は経っていないのです。ですから、お母さんの言いたいことを理解できなかったときには、子どもを責めるのではなく、理解しやすいように言い換えてあげてはいかがでしょうか?学校でも、授業が終わった後に「今日の授業はどうだった?」と質問すると、「楽しかった」「面白かった」という答えが多く返ってきます。教師側からすれば、嬉しい半面、少しがっかりしてしまいます。それは、子どもたちから「ここはよくわかった」とか、「あそこは難しかった」という類いの答えを期待しているからです。

ところが、子どもたちにはなかなか伝わらないのです。だから「今日わかったことは何?」とか、「よくわからなかったのはどこ?」と、具体的に答えやすいように質問するように努めています。そうすれば、「ああ、ここはうまく伝わっていなかったんだな」「明らかに誤解させてしまうような授業になってしまっていたんだな」と振り返ることもできるからです。

 

子どもから的確な答えを引き出すためのヒント

 子どもは大人の言うことを聞いていないわけではありません。ましてや大好きなお母さんの質問には、一生懸命に答えようとします。ただ、どんな答えを期待しているのかというような高度な思考が、まだできないだけです。「そういうことを言っているんじゃない」と突き放せば、子どもはロをつぐんでしまいかねません。

(1)ゆっくり話しかけ、ゆったり待つ

もし子どもが、予想外の突拍子もない答えを出したとしても、それを否定するのは待ってください。正解を告げる前に、どうしてそういう答えになったのかを聞いて、「面白いね」「そういう考え方もあるよね」といったんは受け止めてほしいのです。そして、ゆっくりと穏やかに正解へと導いてあげてください。

学校でも一人ひとりの考え方をすくい取れればいいのですが、教師としてはまず「正解」を教えなければなりません。学校でできないことを、ご家庭でサポートしてただけると幸いです。

(2)人の話を集中して聞く姿勢を見せる

子どもが今日学校で習ったことを報告しようとしたら、いったん家事の手を止めて、聞く態勢をとってあげてください。「自分に関心を持ってくれている」という喜びが、子どもの学習意欲を大いに掻き立てます。ただし、「そこ違うでしょ」と、横やりを入れるのではなく、「お母さんにも教えて」というような関わり方をしてください。お母さんが子どもの話にしっかりと耳を傾ける姿勢を示すと、人の話を熱心に聞くようになります。子どもは、親の様子を本当によく見ているものです。

(3)自力で調べる楽しさを教える

子どもから質問されたときは、安易に即答せず、「お母さんにもよくわからない。調べてみようか」と促します。または「明日、先生に聞いてみて、わかったらお母さんにも教えて」と頼んでみます。そうすれば、おそらく張り切って自分で調べるという行動を起こすことでしょう。知りたいと思う気持ちを萎えさせないで、自然に正解に行きつけるよう、上手に後押しをしてあげましよう。

「自分の力で検証できた」という自信は、子どもを大きく成長させてくれます。