日誌

学力をつけるためには?❷

❷「算数力」をつける  -楽しみながら数字を身近にする

算数が得意になるには、地道にドリルをコツコツ解くしかない——そんな思い込みをくつがえす最新の研究結果があります。子どもの感性で思考力を伸ばすアプリ教材やSTEAM教育教材を開発しているワンダーラボ(旧:花まるラボ)が行なった実証実験では、子どもたちに思考センスを育てるアプリ「シ ンクシンク」を毎日15分プレイしてもらうと、3か月後、学力が本当にアップするという結果が出ました。

※国際協力機構(JICA)とカンボジア政府の協力のもと、カンポジアの小学34年生1500人を対象に行なった実証実験。算数の授業の中で、思考センス育成アプリ「シンクシンク(Think!Think!)」を使うグループと使わないグループに分け、始める時点と3か月後の学力を比較調査した。調査方法は、カンボジア国内の学カテスト・国際学カテスト(TIMSS)IQテストの3つの学力試験の結果を慶應義塾大学の中室牧子研究室が分析したところ、偏差値にして6.0〜9.0ポイントの効果が確認された。また、思考力だけでなく、カンボジア国内の学カテストで多く出題される計算や文章題といったオーソドックスな問題でも学力の向上が見られた。

注目したいのは、子どもたちにとってはまるで遊びとしか思わない15分で、教科害で学ぶ計算力や文章題までもが以前よりできるようになったことです。「算数力を伸ばすには、子どもたちが意欲(=ワクワク)を感じられることが大事」とワンダーラボ代表の川島慶氏はいっています。入り口が『遊び』だと、子どもたちはワクワクします。ワクワクは思考力や想像力を伸ばすだけでなく、計算のようなスキルの吸収力、理解力も高める効果があるのです。

いまやコンピュータがすべて正確に計算してくれる時代ですが、物事の「大小や多い少ない」の感覚を直感的につかむためにも、算数力は重要です。たとえば「1000キロメートルの散歩に行く」「鍋にしょうゆを15リットル入れる」といった数字に自然に違和感を感じることができるか。

計算にアレルギーをもたず、数を自由にあやつれるようになることによって、「数の正しいスケール感を体験的に身につけておく必要がある」と川島氏はいっています。

 

「算数力」をつけるにはどうすればいい?

(1)115分、ワクワクの土台をつくる

算数力を伸ばす原動力は「ワクワク感」です。幼いころからやりたいことを我慢させてドリル学習ばかりさせても、ワクワク感の土台がないと意欲や学力は高学年で頭打ちになると川島氏は指摘します。学校の宿題と一緒に、楽しんで思考力を育てられるような問題を1日15分程度続けることで、算数が楽しくなるワクワクの土台をつくれます。

(2)物事をさまざまな視点からとらえる

算数の思考力は、低学年ほど遊びを通じて身につけることができます。問題集を買ってきてたくさん解かせるよりも、学校の教科書や計算ドリルの問題で、同じ答えになる式を探したり、順番を入れかえて計算の工夫を考えたり、ただ機械的に作業をするのではなく、想像力をかきたてるような作業をうながすと、柔軟な発想力が生まれてきます。

(3)身近な数字で「足し算、引き算」をする

頭の中で歩数を数えたり、街で見かける車のナンバープレートを使ったり、身のまわりにある数字を足したり引いたりして、数字に興味をもてるようになると、算数がおもしろくなってきます。子ども向けのナンプレやそろばんを習うのも、頭の中で自由自在に数をあやつれるようになる「暗算力」を育てます。そろばんは、数という抽象的な概念を受け入れにくい小さな子どもにとっては、数が珠で実際に見えるという点で、算数を学ぶためによい足場になります。