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学力をつけるためには?⓮

⓮時間をあけて「復習」する  ― 覚える科目に最適の方法

 ワシントン大学の心理学者、ヘンリー・ローディガー教授は、一気に詰め込む勉強を習慣にしていると、 次の学期に成績がガタ落ちする可能性があるといいます。いわゆる「一夜漬け」は、切羽詰まった状況にはそれなりに効き目があるものの、そうして覚えた知識は、長く記憶にとどまってくれません。覚える量は同じでも、勉強時間を分散したほうが、知識が脳にとどまる時間がはるかに長くなります。

 では、学んだことをより長く記憶にとどめ ておくには、どのタイミングでもう一度触れ るのが最適なのでしようか。2008年、ヨーク大学(カナダ)の心理学者メロディ・ワイズハート氏は、カリフォルニア大学の心理学者ハ口ルド・パシュラー氏とともに、幅広い年齢層の1354人を対象にした大がかりな実験を行ないました。その結果、 以下のように試験までの期間に応じて、復習の間隔を変えたほうがよいことがわかりました(『脳が認める勉強法』)。

 

「復習」はどのタイミングでするのがいい?

(1)「復習までの間隔」は次第に広げる

 仮に試験が1週間後で、それまでに「90分」の時間を使えるとするなら、今日90分勉強するよりも、今日30分勉強し、2回目は翌日(もしくは明後日)に30分、試験前日に30分、同じことを勉強したほうが、その記憶はしっかりと頭に残ります。

 試験が1か月後の場合、今日勉強して、復習は1週間後にやり、3回目の勉強は試験前日にやるのが最適だということがわかりました。また、目先の試験とは関係なく、長く知識を定着させたいのであれば、ポーランドの研究者ピョートル・ウォズニアックの研究が参考になります。ウォズニアック氏は、今日勉強したなら、1〜2日後に復習し、その次は1週間後、その次は1か月後(その次はさらに先)という形で、次第に間隔をあけて復習することが、記憶を強力に脳に刻むのに効果的だと示しています。

 脳医学の分野でも、東京都医学総合研究所 が2018年にアメリカの科学雑誌『セル・リポーツ』に掲載した研究結果で「間隔をあけて反復学習を行なうと記憶が長い期間、定着するjという脳内の働きが明らかにされています。

(2)間隔をあけた学習は「暗記」に効果的

 間隔をあけた学習は、覚えたことを記憶に とどめるための効果的なやり方です。多くのことを長く覚えていられると理解力も深まるため、この方法は理系科目でも研究が進められています。ただし、いまのところはっきりしているのは、語学や用語、知識の暗記に適しているということのようです。