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学力をつけるためには?❿

❿「語彙」を増やす  -いろんな理解をラクにする基本の力

国立情報学研究所の新井紀子教授らの研究チー厶が、全国約25000人の中高生を対象に読解力の調査をしたところ、その多くが教科書レベルの文章を理解できていないことがわかりました。新井教授が考える原因のひとつは、基本的な語彙力の不足です。子どもにとって、知っている言葉の数が豊富だと、文章を読むときの負担が少なく、内容理解もスムーズになります。また、教えられたことがしっかりと理解でき、自信を感じられます。さらに語彙力は、コミュニケーションカ、表現力、そして創造力へもつながっていく大切な力です。

「語彙」を増やすにはどうしたらいい?

(1)大人とたくさん会話する

東北大学の川島隆太教授らの研究によれば、親子でさまざまな内容の会話を多くもっていると、子どもの言語機能に関わる脳の領域が良好に発達することがわかってきました。また、ベネッセコーポレーシヨンが2016 年に行なった語彙調査では、高校生、大学生、社会人とも、身近な人と「話す」頻度が高いほど、語彙力が高い傾向が見られました。

とくに親、祖父母や親戚、学校の先生といった年齢差のある人と話す頻度が高いほど、語彙力が高くなっています。世代を超えた会話は、子ども同士では出合うことのない新しい語彙を増やし、表現力を伸ばします。

(2)親はすぐに返事をする

子どもの言語獲得に詳しい玉川大学の佐藤久美子名誉教授が、小学校入学直前の年長児約200人を対象に語彙力を調査したところ、応答のタイミングが早い親の子どもは語彙力が高く、発話量が多くなることがわかりました。

(3)親は聞き役になる

佐藤氏の調査では、親の話す時間が短いほど、子どもが話す機会が増えることもわかりました。つまり、親が「聞き役」になるということです。子どもの言葉に対して親が長い返事を返してしまうと、子どもは次の一言が出にくくなります。短い返事をたくさん返せば、子どもはたくさん話すようになります

(4)ゆっくり、はっきり話しかける

小さい子どもは、親の話を聞いて真似をすることで言葉の音を覚えていきます。子どもが聞き取りやすいように、ゆっくり、はっきり話しかけることで、子どもは言葉の獲得がスムーズになります。

(5)本、新聞、マンガに触れる

語彙を増やすには「書く」ことも効果的ですが、オランダ・ライデン大学のスザンナ・モル准教授らが、未就学児(3歳〜)から大学院生までの読書量と語彙力の関係について調べたところ、読書量が多いほど語彙力が高いことがわかったといいます。語彙量がいちばん多いメディアが本や新聞、次に雑誌、マンガです。家族が集まる食卓やリビングに、新聞や雑誌、本を置いておき、目に入る語彙を増やします。

(6)リビングに辞書を置く

ベネッセの調査によると、高校生、大学生とも「わからない言葉に出合ったら、そのままにせずに調べようとする」と回答した人は、語彙力が高い傾向が見られました。「〇〇ってどういう意味?」と聞かれるごとに、「調べてみようか」と言って親子で一緒に調べることで、辞書を引く習慣をつけます。いつも手近なところに辞書があれば、調べる習慣が身につきやすくなります。