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体力をつけるためには?❻

❻一緒に「料理」をする  -五感を育む刺激的な体験
 自分が子どもだったころに比べて、親子の会話時間が短くなったと感じる親が増えています。江崎グリコの調査では、仕事に家事にと忙しいうえ、子どもと向き合って会話するよりもスマホを利用している時間が長いという親が多くなっているようです。こうした中で、親子で一緒に料理をするのは貴重なコミュニケーションの機会になります。東京ガス都市生活研究所の調査によると、親子で料理をしている頻度が高いほど家族の仲がよく、幸福感が高い傾向にあります。

一緒に「料理」をするにはどうすればいい?
(1)キッチンで五感を養う
 料理をしていると、味見によって「味覚」が、材料を扱うことによって「触覚」が、調理中の変化を見ることで「視覚」が、野菜を切ったりぐつぐつ煮たり焼いたりすることで「聴覚」が、食材そのものや調理中に漂う香りから「嗅覚」が育まれていきます。材料を洗ったり、鍋をかき混ぜたり、味見をしたり、簡単な作業を手伝うだけでも、十分に五感が剌激されます。
(2)基本のスキルを身につける
 料理のスキルは、生きていくうえで欠かせない力です。「焼く・蒸す・煮る・炒める」という基本を身につけておけば、世界中どこへ行っても生き抜くことができます。子どもたちが生きる未来には、日本は人口 が減り、市場が縮小していきます。そうなれば、これまで以上に国外へと勉強や仕事の場を求める人が増えていくかもしれません。
 そんなとき、食べ慣れた味を簡単につくれるようにしておくことは、子どもの将来の大きな支えになります。まずはこの「4つの基本」で、塩やコショウのシンプルな味付けでもおいしい料理ができることを一緒に体験します。
(3)知識の「実感」を育む
 教育現場では、「いまの子どもは、知識はたくさん身についていても、実感的な知恵は乏しい」と嘆かれることがあります。たとえば「100グラ厶はどれくらい重い?」「15mlってだいたいどれくらいの分 量?」「大きなペットボトルにはどのくらい水が入る?」といったことが実感としてわからない子どもが多いといいます。料理で材料などを計測すると、体積や重さが感覚で理解できるようになります。
 こうした感覚が身につくと、算数や理科の勉強で非現実的な数字に出くわしたときにも「あれ、これはおかしいぞ。計算がどこか間違っているのかも」という直感が働くようにもなるようです。
(4)まかせて達成感を梅かせる
 料理は子どもが達成感を得やすい作業です。達成感を覚えると、子どもはやる気になります。子どものペースに合わせて料理をするのは時間や手間がかかりますが、親は極力手を貸さずプロセスにも結果にもあれこれ言わないようにします。
 「カレーにチョコレートを入れてみる?」「牛乳を豆乳に替えてみる?」などと話しながら、試行錯誤のきっかけをつくってあげるのも創造力が育ち、子どもの自信につながります。
(5)レシピを一緒に眺める
 「野菜を切る」「衣をつける」「団子のかたちにまるめる」といった、部分的な作業を子どもにまかせるときも、レシピ全体を一緒に眺めます。そして、その作業が全体の中でどんな役割なのかを考えます。なぜ野菜を細かく切るのか、なぜ衣をつける順番が決まっているのかなど、「なぜ?」を一緒に考えることが、子どもの能力を伸ばします。料理は客観的に自分自身の思考や行動を眺める「メタ認知能力」を育みます。「自分には何が足りないのか?」「どうすべきか?」を考える問題解決能力です。メタ認知能力は、幼児期後半から徐々に発達し始め、小学3年生くらいからしっかりと働くようになり、学力、そして将来の仕事の能力にも直結するといわれています。