西小学校のスローガンは、「 全力・挑戦・ありがとう」 です。
思考力をつけるためには?❻
❻「深掘り」の意欲を伸ばす ―成績より過程に注目する
東京大学高大連携推進部門の心理学者である白水始教授は「『試行錯誤しながら学ぶ力』は、本来は誰にでも備わっている」といっています。ところが残念ながら、子どもは成績だけをほめられると、かえって学ぼうとする意欲を削がれてしまうといいます。子どもはもともと単純に「楽しい」という理由からがんばるのですが、がんばった内容には触れずに結果だけをほめられ、さらにはごほうびまで与えられたりすると、「点数しか見ないんだな」「自分がやっていたことはごほうびのためだったのか」と、楽しい気持ちが損なわれてしまうのだそうです。
コロンビア大学のクラウディア•ミューラー教授らがある公立小学校の生徒を対象に行なった「ほめ方」の実験でも、子どものもともとの能力(=頭のよさ)をほめると子どもたちは意欲を失い、成績が低下することがわかりました。
白水教授は、「(点数などの)結果だけに注目するのではなく、取り組んでいる中身や、子どもの取り組み方そのものに気を配ってあげること」が大切だといいます。親が子どもの考えをもっとくわしく聞いたり、面白いアイデアや問題の解き方などに関心を向けたりすると、子どもは自分の考えを深掘りしていこうと思えるようになります。
「深掘り」の意欲を伸ばすにはどうすればいい?
(1)どんなことも「前進」ととらえる
「学習するとは、いままでわからなかったことがわかるようになること」だとシンプルに考えれば、失敗も成長のひとつだと思えてきます。結果がふるわないときには、どこが足りなかったのか、何が問題だったのかを一緒にふりかえり、「わかるようになってよかったね」「ほら、一歩前進だ」と声をかければ、子どもの自尊心を傷つけずに伸ばすことができます。
(2)子どもに質問をする
「なぜだと思う?」「自分ではどう思う?」といろいろ質問してみます。子どもは質問されることで、自分の理解不足に気づいたり、自分が知りたいこと、やるべきことは何なのかを自分の頭で考えるようになったりします。ただし、質問するときには、結果を問い詰めるような聞き方にならないように注意します。
(3)親の好きな分野と話をからめる
子どもが取り組んでいることに対して、親の得意な分野、好きな分野とからめて話してみます。対話の内容は、子どもの興味に限らなくてもいいのです。さまざまなヒントで視野を広げてやれば、子どもはそれを頭の中でつなげ、あれやこれやといじくりまわして、柔軟な思考力を育むことができます。
(4)「専門家」の言葉に触れる
親がなんでも子どもよりくわしい必要はありません。「餅は餅屋」ということわざがありますが、親が答えられないようなことは、くわしい人に話を聞くと、子どもにとってもためになります。子どもが興味をもつ分野があれば、周囲で自分よりくわしい人を探し、子どもが交流できる機会をつくります。いまはSNSで積極的に情報を発信したり、一般の人と交流をもったりしている研究者や専門家もたくさんいます。そうした人と、親がツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどでつながって、子どものために直接、質問してあげることもできます。
また、NHKラジオ第1の「子ども科学電話相談室」では、子どもたちのさまざまな素朴な質問に専門家が答えており、その内容は本にもまとまっています。そうした番組や本などで専門家の言葉に触れるのも、子どもの知的好奇心を剌激します。
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