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自己肯定感をつけるには?⓬

押しつけない「いい距離感」で接する

どんな親にも、わが子に対して「こんな子どもでいてほしい」という理想があるでしょう。そしてその理想から少しでも外れると、心配に思うあまり、つい余計な言葉をかけたり行動をしたりしてしまうものです。親としては励ましたり助けたりしているつもりですが、これは子どもの立場からすれば「押しつけられているJ状態にほかなりません。たとえば、子どもの感情を考えずに「それでいいと思っているの?」「そんなことで泣いちゃダメ!」といった言い方で正論を押しつけられると、子どもは突き放されているような気持ちになります。

反対に、子どもと一体化しすぎると、「〇〇ちゃんはうまくできないだろうから、パパ(ママ)が代わりにやってあげるよ」などと言って、子どもの不快や苦しみ、起こりそうな困難を先回りして防ごうとしてしまいます。これでは、子どもから「経験」を奪い、子どもが自分の能力に気づくことをさまたげることになります。親自身が自分の言動が子どもに及ぼしている影響に気づいていないことも多く、親の思いを押しつけられた子どもはキレるか、自分の本当の気持ちを隠すか、どちらかしか選べなくなります。親子の適切な距離感というのはなかなか難しいものですが、「子どもを突き放しすぎず、一体化しすぎない」という意識をもっておくようにします。

 

「親の思いを押しつけない」ために何を意識すればいい?

(1)本当の問題はどこにあるのかを知る

たとえば子どもが何かを嫌がっているとき、なぜそんなに嫌なのか、話をじっくり聞いてやる気がないように見えていても、本当は失敗を恐れているのなら、失敗は成長の機会だと教えてあげることで背中を押し、恥ずかしくてできないのなら、恥ずかしさを取り除くにはどうすればいいか、解決の方法を一緒に考えてみます。子どもの気持ちに「共感」するのです。

(2)「まだ」のひと言を加える

スタンフォード大学のキャロル・Sドウエック教授は、「Not Yet思考」(まだ思考)による発想の転換を勧めています。子どもが「できない」「イヤだ」と言うとき、「まだ〜」という言葉をつけ加えるだけで、「まだできない(やりたくない)だけ」「(もう少し練習すれば)できるかもしれない」というモチベーションに変えることができるといいます。いまできなかったり、やる気がしなくても、それは「目標や成功に到達するまでの道のりの一部だ」と思える力を育みます。

(3)他の子と比べない

親の不安や心配は、他の子どもと比較してしまうことからも湧いてくるものです。また、子どもが昨日は前向きだったのに、今日は後ろ向きな反応をするということもよくあります。子どもはそのくらい複雑で、一人ひとり違うのだということ、そして子どもによって成長の仕方や速さもさまざまだということを心に留めておきます。

(4)自分と比べない

自分が成功したから子どもにも同じルールを敷くのが安全だと考えたり、自分が叶えられなかった夢を子どもに託したりするのは、子どもの幸せを願う親心からです。ですが、子どもの将来の幸せは、子ども自身が人生を通じて見つけていくものです。世の中が劇的に変化しているいま、大人の尺度や判断がこれからの世界でも通用するという保証はどこにもないことを、親は肝に銘じておく必要があります。