日誌

コミュニケーション力をつけるためには?❺

❺「スキンシップ」を大切にする
 ―脳にも心にもいい「やさしい刺激」-

スキンシップは子どものストレスを軽減して情緒を安定させ、精神的な自立をうながす成長の土台となります。スキンシップをとると、愛情ホルモンとも呼ばれる「オキトシン」という脳内物質が分泌されます。子どものころにオキシトシンを分泌しやすい脳にしておくと、大人になっても他者への信頼や安心感が続き、周囲の人と温かい人間関係を築くこと呼できるといわれています。さらに、記憶力がよくなり、学習効果が高まり、ストレスにも強くなることがわかっています。

 

「皮膚」への刺激で脳に好影響を与える

2018年のベルメゾンの調査によると、ス キンシップがとれている家庭ではとれていない家庭に比べ、保護者が「家族の絆jを約3倍も深いと感じていることがわかりました。ところが残念なことに、12歳までの子どもをもつ保護者の約半数が、小学校入学のころから「スキンシップが減っている」と実感しているようです。桜美林大学の山口創教授は、子どものころに十分なスキンシップをとっておくと、その効果は一生続くといいます。皮膚は「第二の脳」ともいわれており、温かくやさしい剌激が皮膚から脳にダイレクトに届くことで、心身の発達に良い影響を与えてくれるのです。

 

1 「スキンシップ」をするにはどうすればぃぃ?

(1)子どもが求めてきたら拒まない

親子のスキンシップが多いほど、子どもは過程を「安全基地」のように感じることができます。スキンシップを拒まれると子どもは不安を感じてしまうので、拒まず受け入れてあげます。

(2)手をつなぐ

手は癒しの源です。「手当て」という言葉は、昔の人が病気やケガの患部に手を当てて治していたことに由来するともいわれます。手をつないで歩く、あるいは握手でも、手のぬくもりは人を安心させます。

(3)頭をなでる

「よかったね」「よくがんばったね」などと声をかけるときに頭をなでると、子どもは愛情を感じて、喜びます。思春期に近づくにつれ、親子のスキンシップは減っていきますが、そんな時期でも頭をなでることは触れ合いのよい機会になります。

(4)肩や背中をポンとたたく

赤ちゃんは背中をポンポンとたたかれると、母親の胎内にいたときの心音を思い出し、落ち着くのだそうです。子どもが寝る際には背中にポンポンと静かに手を当ててあげたり、「いってらっしゃい!」と「おかえり」といった挨拶のついでに、肩や背中にポンとやさしく触れてあげるだけでも、安心した気持ちになれるようです。山口教授は「このワンポイント型の何倍もの感情が伝わる」といっています。

(5)ハイタッチする

ハイタッチは、「イエーイ!」「やったね!」と言いながらお互いが向きあって目を合わせ、言葉以上に喜びや感動を共有できます。

(6)こちょこちょする

無理強いは禁物ですが、子どもが喜んだり、楽しめたりするようなら、こちょこちょとくすぐり合う遊びにもスキンシップによるリラックス効果があります。また、笑うことで情報を伝達する神経回路「シナプス」を増やし、脳の働きをよくします。

(7)ハグする

武蔵野学院大学の澤口俊之教授によると、子どもによくハグをする親子は互いの関係性がよく、親子ともよく眠れるなど、心身ともに健やかになるそうです。また、親からハグをされてきた親の93.7%が自分の子へもハグをしており、育児スタイルは親から子へと受け継がれているようだと指摘しています。

(8)効果が高いのは夕方以降

副交感神経は「休息の神経」ともいわれ、体をリラックスさせる働きをもつ神経です。 桜美林大学の山口教授は、スキンシップを副交感神経が優位になる夕方以降に行なうと、さらに効果が高まるといいます。また、秒速5センチメートル程度の速さで動かしながら触れると、副交感神経が最も優位になるそうです。私たちが大切な人やペッ卜などをなでるとき、無意識のうちにこの速さで手を動かしていることが多いようです。手のひら全体を使ってしっかりと触れると効果的だと山口教授は勧めています。