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2020年11月の記事一覧

思考力をつけるためには?⓫

⓫「子ども扱い」しない  ―子どもに「敬意」をもつとは?

ベストセラー『嫌われる勇気』( ダイヤモンド社)で知られるアドラー心理学。オーストリア出身の精神科医で心理学者のアルフレッドアドラーは軍医として戦争の悲惨さを体験し、賞罰や叱責、暴力という手段を使わない問題解決を考えられる人を育てたいと、独自の教育理論や療法を編み出しました。その基本は「人間はすべて平等であり、大人も子どもも対等である」という考えにあります。アドラーは子どもを勇気づけ、「私には能力がある」「私は認められている」と感じられる心を育てることをめざしたのです。

 

子どもを「対等」に扱う

大人の指示に従わせてばかりいると、その子どもは大人に頼る癖がついてしまい、いつまでも自立できなくなってしまいます。子ども扱いせず対等に向き合うことで、子どもは自分の頭で考え、行動する力を身につけていくことができます。

 

「子ども扱い」しないためにはどうすればいい?

(1)課題を「分離」する

親は子どもに対して「絶対〇〇がいい」「××すべきだ」といった言葉づかいをしてしまうことがありますが、これは親が心配のあまり、子どもの課題に口出しをしてしいる状態だとアドラーはいいます。そして、親の課題と子どもの課題は「分離すべき」だとし、子どものためだと言いながら、本当は親自身が安心するためにやることを「自己欺瞞」と呼びました。子どもの課題は、本来は子どもが自分の力で解決すべきこと。子どもを信頼してまかせてみて、自分で解決できれば、子どもは自分に能力があると感じられるようになります。

(2)子どもの考えに敬意をもつ

子どもには大人とは違う視点、大人にはない発想力があり、実際に子どもから教わることは意外と多いものです。「親は子どもより上」という固定観念では、子どもの柔軟な思考力を伸ばすことはできません。子どもの意見や考えだからといって、真剣に聞かずに受け流したりせず、敬意をもって耳を傾けることが大切です。子どもにたくさん話をさせ、じっくりと聞いてあげると、子どもは「自分は認められている」と実感して、自分の考えに自信をもつことができます。

(3)言葉づかいに気をつける

子どもに対して言葉づかいを丁寧にすると、命令したり従わせようとしたりする表現にならず、感情的になってこじれることが少なくなります。

(4)大人が自分の感情に気づく

子どもに対して怒りや不安、心配といったマイナスの感情があると、子どもを恐れさせたり、言うことを無理に聞かせようとしたりしてしまいます。マイナスの感情からは、「何回言ったらわかるの」「いいから〇〇しなさい」「✕✕に決まっているじゃない」といった命令や、反論の余地がない強い言葉が生まれ、「親が上で子ども下」という一方的な関係性が強く出てしまいます

親は自分のマイナスの感情に気づいたなら、場所を変えるなどしてクールダウンし、「自分は子どもの課題に干渉しているだけではないか」「もっと子どもの気持ちに歩み寄れないか」と冷静に考えてみます。

5日 安心感は、勇気と行動力の源!

5日の魔法の日めくりメッセージです。

安心感は、勇気と行動力の源! ~ずーっと、ずっと「いってらっしゃい」「いってきます」~

子どもは毎日、
新しいことに出合うために出発します。
しっかり、姿が見えなくなるまで
見送ってもらうことで、安心して旅立てるのです。
安心感が得られないと、不安で、
何事にも消極的になります。
安心感が得られると、エネルギーが充満して、
自分らしさが発揮できます。

「いってらっしゃい」「いってきます」の掛け合いで、
1歩前へ進めるのです!


 11月5日(木)、昨日の50周年記念人形劇を楽しみ、2学期も後半です。ご家庭での子どもたちの変化はいかがでしょうか。子どもの中に安心感が得られているかどうかがポイントです。安心感が得られるときには、実際にはいなくても心の中に「いつでも見守られている」という感覚が育つことです。「愛着の形成」ということになります。小学校入学前に「愛着の形成」がなされないと、学校生活で困難な場面が生じます。お子さんによっては、十分に獲得されないこともあります。小学生の子どもたちに安心感が育つように、褒めて、認めて、励ましましょう。

思考力をつけるためには?❿

❿「男女の違い」に対応する  ―特徴を知って能力を伸ばす

人間の脳には右脳と左脳があります。左脳は主に言語表現や論理的思考をつかさどり、分析的な役割をします。右脳は主にイメージの認識や空間の把握、直感やひらめき、想像力をつかさどり、情緒的な役割を担います。脳の発達でみると、男の子は男性ホルモンの影響によって成長ホルモンが抑制されるため、体と脳の成熟が一時的に抑えられます。そのため、男の子のほうが女の子より脳の成熟が遅いことがわかっています

女の子は左脳が早く成熟し、脳の左右のバランスを取るために両脳をつなぐ脳梁も男の子より太くなります。一方で男の子は女の子に比べて左脳の発達が遅く、右脳が発達していきます。そのため、女の子は言語能力に優れ、器用でさまざまなことを同時にこなせる要領のよさがあり、男の子はひとつのことに集中して取り組み、図形や空間認識が得意な傾向にあります。もちろん得意不得意は個人差によるものが大きいですが、子どもの場合はこうした男女の脳の発達の違いから生まれていることもあります。それぞれの特徴を理解しておくと、子ども能力を無理なく伸ばすことができます。

 

うまく「男女の違い」に対応するにはどうすればいい?

(1)男の子は、たくさんしゃべらせる

男の子は言語表現をつかさどる左脳の発達が女の子に比べて遅くなります。男の子に話しかけてもいつも答えがひと言うだけ、という感じでも、発達面では自然なことなのです。そこで男の子にはオープン・クエスチョンで質問してたくさんしゃべらせ、大人は聞き役に徹します。男子の教育に詳しい開成中学高校の柳沢幸雄前校長は「言いたいことを伝えられるのは、『言葉ではなく論理』。論理を理解する基盤を育てるには、子どもがセンテンス(文章)を最後までしゃべり終えるようにうながすこと」といっています(『男の子を伸ばす母親が10歳までしていること』朝日新聞出版)

(2)女の子は、自信をつけてあげる

女の子は男の子に比べて左右の脳がバランスよく発達するので、さまざまなことを同時に器用にこなすことが得意です。いっぽう、そのバランスを崩さないように失敗を避け、周囲の期待に応えようと生真面目にがんばりすぎる傾向があります。女の子には、まず家庭をなんでも話せる安全な場所にすること、そしてスモールステップで成功体験を積ませることで、自信をつけてあげます。女の子でも十分に自信がついてリミッターが外れれば、柔軟で型破りな発想が生まれてくるようになります。

(3)先入観を押しつけない

男女別学のほうが共学よりも成績がよいだけでなく、科目選択や「やればできる」と自信がもてる自己効力感にも好影響があるという調査結果が世界各地で報告されています。理由としては「男子は理系、女子は文系」といった先入観を押しつけられないこと、異性の目を気にすることなく好きな学問や趣味に没頭できることなどが挙げられます。男女の脳は、発達の速さに差はあるものの、世間で通説としていわれているほどその差はまだ明らかにはなっていないようです。「男の子(女の子)だから……」というのではなく、その子の個性を損なわないように成長を見守ることが大切です。

4日 「あいさつ」は人とのつながり・結びつき

4日の魔法の日めくりメッセージです。

「あいさつ」は人とのつながり・結びつき ~目を見て「あいさつ」してるかな?

目を見ることは相手を認め、
信頼関係を結ぶ第1歩になります。
朝1番の「おはよう」は、
1日の清々しいスタートがきれますよ!

沢山の「あいさつ」を探して声に出してみましょう!
きっと、新しいつながりや、お友達と出合えますよ。


 2学期13週目に入り、3連休後の水曜日です。創立50周年記念行事として、地元の劇団くぐつによる人形劇を鑑賞します。人と人があいさつを交わすことが改めて、重要視されています。ご家庭での「あいさつ」はいかでしょうか。元気な「あいさつ」ができる子は自分に自信があったり、エネルギーがあったりすると感じています。普段、私も負けなぐらいに「あいさつ」をしてエネルギーを与えていますが、学校が再開して子どもたちの姿が学校にある当たり前の光景になってきました。互いがつながり、結ばれていることを実感しながら、ご家庭での「おはよう」「いただきます」「おやすみなさい」などのあいさつをすすめてください。人とのつながりは向社会性の育成につながります。

思考力をつけるためには?❾

❾「やり抜く力」を養う  ―努力と情熱がものをいう

英語で「グリット」とは、目標に対して興味をもちつづけ、困難や挫折を味わってもあきらめずに努力を続けられる力、すなわち「やり抜く力」のことです。アメリカの教育省が21世紀教育の最重要課題として掲げ、オバマ前大統領やマイクロソフトのビル・グイツ、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグをはじめ、各界のリーダーたちがこの「グリット」を重要視しています。

グリット研究の第一人者であるペンシルベニア大学の心理学者アンジェラダックワース教授は、人が偉業を達成するには才能よりもグリットが重要であることを科学的に実証しました。さらに、グリットを計測する方法を独自に編み出したところ、社会的に活躍している人々はその数値が高いことがわかりました。グリットが強い人は、自分のやるべきことを最後まで成し遂げやすいこと、また、グリットは幸福感や健康とも比例していることがわかっています。グリットの強さには遺伝的な影響もありますが、ダックワース教授は、グリットは「伸ばせる能力」だといっています(『やり抜く力』ダイヤモンド社)。

 

 「やり抜く力」はどう伸ばす?

(1)好きなことを見つける

ダックワース教授は「その道を極めた達人でさえ、最初は気楽な初心者だった」といい、「必死に努力する以前に、まずは楽しむことが大事」と述べています。アメリカの教育心理学者、ベンジャミン・ブルーム博士の研究でも、なにごとも習い始めの時期には、やさしくて面倒見のよい指導者を得ることが重要であり、威圧的で厳しすぎる両親や教師は、子どものやる気を損なってしまうことがわかっています。ますは子どもがどんなことに情熱を感じているか、興味の対象が何かをじっくりと観察します。

(2)「少し高めの目標」を設定する

情熱を傾けられることが見つかったら、少し高めの目標を設定し、それをクリアするために練習します。できれば同じ時間に同じ場所で練習することを「日課」にします。好きなことがまだ見つからない場合でも、毎日の宿題や運動などで、少し高めの目標を設定して練習を重ねれば、勤勉さが身につきます。

ヒューストン大学の心理学者、ロバート・アイゼンバーガー教授は自身の研究から、勤勉きは練習によって身につけることができ、難しいことに取り組むことで、ほかの難しいことにも取り組めるようになると結論づけています。

(3)すぐにやめない

「先生に怒鳴られた」「試合で負けた」「朝練がつらい」といった一時の感情に流されず、始めたことは区切りのいい時期まで一生懸命取り組むようにします。

(4)親が手本となる

ブルーム博士が世界卜ップクラスのスポーツ選手や芸術家を対象に行なった研究では、親が子どもたちにとっての「努力の手本」となっていることがわかりました。ダックワース教授は、親も自分にハードな目標を設定し、「それに対してどれくらいの情熱と粘り強さをもって取り組んでいるか」、そして「子どもが自分を手本にしたくなるような育て方をしていると思うか」を考えるべきだといっています。

(5)ほめ方に気をつける

生まれながらの才能や結果、成績を評価するよりも、努力の過程をほめたり、「もう少し時間をかければできるようになるよ」とあきらめないよう励ましたりするほうが、努力できる能力を伸ばすことにつながります。

(6)グリットの強い人で囲む

グリットの強い人たちに囲まれていると、自分も自然に連帯感や共同体のような意識を抱くようになります。ダックワース教授の家庭では、家族全員がそれぞれ、ハードなことに挑戦し、粘り強く続けることを実践しているといいます。グリットは集団の力でも養えるのです。