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2019年12月の記事一覧

PISA調査(読解力)からPart2

 小学生の子どもたちに国語力や読解力をつけることが必要です。その根底には、幼児期から育んでいくことが必須になっています。あらためて、「AIに負けない子どもを育てる(新井紀子著)」を紹介します。

(幼児期)
1.身近な大人同士の長い会話を聞く機会を増やすこと。特に多様な年代の大人同士の会話を聞く機会があるとよい。
2.身近な大人が絵本を開いて、繰り返し読み聞かせをしてあげてほしい。幼児にとっては繰り返しが楽しい。
3.信頼できる大人に、自分は守られている、という実感を育てること。
4.社会(文字、数、貨幣、移動手段、調理など)に関心を持つようになったら、ごっこ遊びができる環境を作ったり、広告や駅名を読んでやったり、貨幣で何かを買ったり、簡単な調理を一緒にしたりする機会を増やしてあげたい。
5.日々の生活の中で、子どもが身近な小さな自然に接する時間を取ること。子どもが十分満足するまで、そのことをじっくり観察したり感じたりする時間を取ってあげたい。
6.子どもが自分の関心に集中できる時間を十分確保すること。タブレットなどによる映像でなく、具体物を使った活動ができるようにすること。
7.同世代の子どもたちと、十分に接する機会が確保されること。また、少し年上の子どもたちがすることを真似たり、憧れたりする機会が確保されること。

PISA調査(読解力)から

 12月3日(火)に「国際学習到達度調査(PISA)」の結果が公表されました。4日(水)の新聞に掲載されたのはご存じかと思います。見出しを見ると、「日本「読解力」急落15位」、「理数系上位維持」、「長文読み書き減 要因か」、「情報探し出す 苦手」、「本・新聞読む生徒 高得点」、「小中高 討論・発表重視へ」、「読解力 転落ショック」、「SNS世代 読むより反応」などがありました。
 日本の読解力が急落したのは、「子どもたちの言語環境が急激に変わり、読書などで長文に触れる機会が減った」ことを文部科学省の担当者は述べています。子どもたちの言語環境が急激に変化したことは、スマホやSNSといった環境の変化があげられます。「この公園には滑り台をする」という文章が予備校で提出された要約文だそうです。主語や述語が不明確で意味が通じない文や、すべてに「、」をつなげ、1文で書く高校生もいるとのこと。この原因の1つにSNSの普及があると言われています。スマートフォンを使って、短文でのやりとりできるラインは、単語や略語だけの「話し言葉」で通じてしまいます。また、そのときの気分を「スタンプ」を使えば、感情を言葉にする必要もありません。このように、「正しく書かなくてもいい」環境も生まれたことが、言葉の乱れにもつながっているようです。
 また、本の種類にかかわらず、本を読む頻度は、2009年と比較して減少傾向にあります。読書を肯定的にとらえる生徒や本を読む頻度が高い生徒の方が、読解力の得点が高いという結果も出ています。中でも、フィ クション、ノンフィクション、新聞をよく読む生徒の読解力の得点が高くなっています。

AIに負けない子どもを育てるためにPart13

⑦-2具体例同定(理数)の問題(普通)
以下の文を読みなさい。

 3つの文字abcを用いた文字列で、次の(1)と(2)を満たすものを考える。
 (1)最初の文字はaである。(2)同じ文字が2つ以上続くことはない。

上記の文の(1)と(2)を満たす文字列を選択肢の中からすべて選びなさい。

① abcba  ② abbca   ③ bcacb   ④ abcde

 正解は、①になります。この具体例同定能力が十分に伸びていない状態で中学校に入学すると、中学校の学習につまずきやすくなりますと言われています。例えば、偶数の定義を学んだ6年生でも半数の子どもたちは読めません。「2,4,6,8、・・・のような整数を偶数といっても、-110はどうか、0はどうか、という判断できません。「2で割り切れる整数を偶数という」とか、「2の倍数であるような整数を偶数という」という定義を使わないと、正確に伝わりません。
 

AIに負けない子どもを育てるためにPart12

 具体例同定(理数)の問題は、具体例同定(辞書)と同様に、定義を読んでそれを合致する具体例を認識する力を測定するものです。

⑦-1具体例同定(理数)の問題(易しい)
以下の文を読みなさい。

 1とその数以外の約数をもつ数を合成数という。

合成数の例として正しいものを選択肢の中からすべて選びなさい。

① 1   ② 2.2   ③ 0.6   ④ 9

 正解は、④になります。合成数は、
1とその数以外の約数をもつ数ですから④になります。

AIに負けない子どもを育てるためにPart11

 小学校に入学すると、「定義」という言葉は使わなくても用いられる場面がたくさんあります。生活で使う生活言語から学習で使う学習言語に変わるのが2年生の後半から3年生前半で移行していきます。

⑥-2具体例同定(辞書)の問題(普通)

 ある者が他の者に対して一定の行為を請求しうることを内容とする権利を債権といい、財産権のひとつである。例えば、お金を貸した人に対して、お金の返済を請求できる権利は債権である。

「債権」にあてはまるものを選択肢の中からすべて選びなさい。

①友達に貸した本がなかなか返ってこない。早く返してほしい。
②今月の給料が支払われない。きちんと払ってほしい。
③提出期限になっても、なかなか宿題を提出しない生徒がいる。早く提出してほしい。
④友達に借りた金を月末までに返さなくてはならない。

 正解は、①、②になります。「債権」の定義を読んで、それを合致する具体例を認識する力を測定しています。