日誌

2020年9月の記事一覧

感情はどのようにして育つのか?④

4 「思いやり」という感情を育てるには?

「うれしい」「たのしい」「かなしい」「怒っている」「うらやましい」など、個人が感じる基本的な感情が育つプロセスを、感情の社会化ということでした。個人の基本的感情を重視すると、「わがまま」になり、自分の感情しか考えない「自己チュー」になるのではないかと思われています。しかしそれは「錯覚」です。個人の基本的感情(特に怒りや悲しみなどのネガティヴな感情)を重視することが「思いやり」のある子どもに育つために重要です。なぜそれが「錯覚」なのかについて、確認しておきたいと思います。

感情の発達は階層構造になっていると考えてみましょう。「うれしい」「たのしい」「かなしい」「怒っている」「うらやましい」という個人の基本的感情がしっかり獲得されることが、第1段階です。「思いやり」「かわいそう」「助けてあげたい」などの他者に対する感情は、その上で発達する2段階目の感情なのです。1段階目が獲得されていない子どもは土台がないので、2段階目は構築されていきません。

「うれれしい」「たのしい」「かなしい」「怒っている」「うらやましい」という個人の基本的感情を、ことばによって表現することを獲得してきている子どもは、大人から自分の身体を流れるエネルギーの非言語的表出を正しく(共感的に)くみとってもらってきた子どもです。自分がわけわからずにかんしゃくをおこしていらだっているときに、「怒っているのね」と、怒っていることを承認されてことばにしてもらってきた子どもは、他者の非言語的表出をくみとるという能力も開発されています。自分が悲しい顔をしているときに、「悲しいんだね」と応じてもらうことができてきた子どもは、悲しそうな表情をしている友だちを見たら、その子が「悲しい」のだということがわかります。そして自分の「悲しい」という経験と照合することができます。そこであらたに「かわいそう」といった感情を身体的に経験するということが起こります。そこに「思いやり」が生じるという関係が生まれるのです。

同情や共感といった他者に対する感情を身体的に経験するには、その源になる個人の基本的感情がしっかりと承認されて育つ必要があるわけです。個人の基本的感情が社会化されていないと、他者の非言語的表出を読み取ることができないのです。そのようなとき、「思いやり」ということばは、身体的なエネルギーとしてのアナログ的な(量的な)感情をともなわず、単にデジタルな記号にすぎなくなります。だから、子どもたちの感情を育てるためには、子ども個人の基本的感惰を重視していくことが重要なのです。

16日 食事のマナーを伝えましょう

16日の魔法の日めくりメッセージです。

食事のマナーを伝えましょう ~お茶碗を持ってごはんを食べよう!~

「ごはんを大切に食べる」という
想いを形で表現できるように、
食事のマナー・仕方に目を向けてみましょう。

お茶碗を持ってごはんを食べる、
お箸をおいてからお茶を飲む、
ご飯とおかずを交互に食べる、
一つひとつを大切にできるように、
マナーを守って楽しく食べる。

一度お子さんと一緒に食事のマナーを考えて下さい。
毎日必ずとる食事は、マナーを伝えられる大切な時間です。


 食事での食べ方やマナーからその子の様子がわかるとも言われています。私自身は食べるのが早いのですが、職業柄そのようになっているのかもしれません。食事に限らず、そのときどきでマナーを教えてください。家庭で生活するうえで日々やっていること、食事、洗濯、掃除、健康管理というものを子どもと一緒にやって、子どもができるようにする時間として使うことができたかを振り返ってみてください。

感情はどのようにして育つのか?③

3 親子のコミュニケーションと感情の発達

鯨岡は、乳幼児期の親子の原初的コミュニケーションのありようを2つのパターンに分類しています。養育者が子どもの感情の側に入り込み、子どもに合わせる状態を「成り込み」と言い、逆に養育者が子どもの感情を大人の願う方向に向かって調整することを「巻き込み」と言いました。「成り込み」は「おのれを相手に重ね合わせて、相手を生きようとする様態」であり、「巻き込み」には「養育者自身の身体のもつ力動感を調節し、そこに子どもを浸し込むことによって子どもの気持ちを調節する」側面があるといいます。乳幼児は未熟な存在ですから、親が子どもの感情に成りきって合わせる「成り込み」だけでは子どもは育たず、子どもの感情を大人が願う方向に巻き込んでひっぱる「巻き込み」も必要なわけです。大事なのはこの「成り込み」と「巻き込み」のバランスだと言えます。乳幼児期における養育者の無意識的なコミュニケーションスタイルである「成り込み」と「巻き込み」という概念は、幼児期以降は「受容」と「しつけ」という形に姿をかえて、子育ての重要テーマになり、親自身の子育ての悩みの種にもなっていくわけです。

感情の社会化のプロセスには、この「成り込み」と「巻き込み」の両方の要素がバランスよく含まれています。子どもの身体からあふれている非言語的な表現を「正しく」察知するときには、親が子どもの感情の側に入り込むという「成り込み」がなされることが必要であり、それをことばにより名づけるときには、大人の願う方向に向かって調整するという「巻き込み」がなされていきます。つまり、親のほうは子どもの感情を察知して「怒っているんだね」と言いながらも親自身は怒っているわけではなく、落ち着いている状態にあります。興奮して真っ赤になって足をばたつかせている子どもを、落ち着いた親の身体的状態に「巻き込み」、子どもを落ち着かせるわけです。

コミュニケーションは、言語的な(デジタル)レベルで伝達するものと、非言語的な(アナログ)レベルで伝達するものという、異なる2つのメッセージによって成り立っています。親と子の感情の境界がない共生関係にある乳幼児期のコミュニケーションにおいては、これらは互いに混ざり合いながらコミュニケー卜されています。つまり、ことばをまだ持たず身体で怒っている子どもに対して共感し(成り込み)、子どもの身体の状態をかわりに親がことばで表現し、落ち着いている親の身体の状態が伝える落ち着きや安全・安心という状態に巻き込み、子どもの身体が落ち着くというコミュニケーションです。そこでは子どもの感情と親の感情が言語・非言語で混じり合っています。そのような状態にあるとき子どもは、怒りなどのネガティヴな感情が身体を流れても、世界は安全であるという感覚を育てることができるのです。そして、それが怒りなどのネガティヴな感情を安全なものとして抱えていられる安定した大人になるために必要なことなのです。

興奮して泣いている子どもを前にして、親が「落ち着きなさい!泣き止みなさい!」と興奮して叫んでいる場合には、子どもは「ことば」の指示とは反対に親の非言語に反応して、いっそう興奮してしまうわけです。怒りや悲しみや恐怖などのネガティヴな感情にさらされているときというのは、幼い子どもにとっては危機的状況です。そのときに大人とのかかわりの中で安全・安心を獲得できないと、ネガティヴな感情が身体の中を流れること自体が大変危険でおそろしい体験になってしまいます。

15日 自分を守る、社会のルールを守る

15日、魔法の日めくりメッセージです。

自分を守る、社会のルールを守る ~信号を守ろう!車に気をつけよう!~

子どもが、親と一緒に歩く間に、
自分の身は自分で守ることが出来るよう、
しっかりと交通ルールを教えましょう。

社会のルールである交通ルールを守ることで、
自分も社会の一員であることを
認識できるようになってきます。

まず、大人である私達が社会のルールを守れるように
見本となりましょう。


 2学期5週目の火曜日です。新型コロナウイルス感染予防のためには、自分を守ることの大切さを痛感させられます。学校での新しい生活様式が始まっています。ルールは何のためにあるのでしょうか。二人以上の生活の中では必ずあります。子どもたちの好きなスポーツにも遊びにもルールがあり、守ることで楽しむことができます。ルールだけでなくマナーも守れる子どもたちを育んでいきましょう。

感情はどのようにして育つのか?②

2 感情はどのようにして社会化されるのか?

私たちはどのようにして、感情を獲得してきたのでしょうか?どのように育てれば、「思いやり」は育つのでしょうか?子どもの感情が親子のコミュニケーシヨンを通して社会化されていくという視点から、考えていきます。

赤ちゃんは感情をどのように表現するのでしょうか?おなかがすいたとき、暑いとき、寒いとき、おむつが汚れて不快なときなどに泣きます。「火がついたように泣く」という表現があるように、おなかがすいている赤ちゃんが泣くときの必死さには、生きようとするエネルギーが満ちています。私たちは、おっぱいやミルクを飲ませたり、おむつをきれいにしたり、ほどよくあたたかくしてやります。赤ちゃんは「泣く」という動作によって、自分の身体が「不快」であることを親に伝えます。そしてその「不快」が「快」に変化することを通して、外界が安全なものであることを、日々体験していきます。このとき、赤ちゃんは「安心感・安全感」という感情の基本となる基本的信頼感を得ています。外界は安全で、助けを求めれば助けてくれて、身体が安心だと感じることができるということです。この時期の発達課題である「基本的信頼の獲得」は、このような親子の相互作用の中で獲得されていくわけです。

このように、赤ちゃんが最初に獲得する感情は安心感・安全感であり、それは身体で感じているものです。この身体で体験している安心感や安全感が、感情が育っていくための重要な礎になります。育児において「スキンシップが大事」と言われてきたことはそういうことを意味しており、大事なのはスキンシップによって「身体で体験している安心感・安全感」を獲得しているのです。

10ヶ月くらいの赤ちゃんは、「いないいないばあ」をすると、大喜びでけらけらと大きな声で笑います。私たちは、笑っている赤ちゃんが「大喜び」しているとどうしてわかるのでしょうか?赤ちゃんは「大喜びだ」とことばで話すわけではありません。私たちは、赤ちゃんの示している表情や笑い声、しぐさから、赤ちゃんが「大喜び」していると判断しています。赤ちゃんの身体の中に、喜びのエネルギーが流れていることを感じ取っているのです。感情とは、身体の中を流れるエネルギーなのです。赤ちゃんが「いないいないばあ」が楽しくて、笑っているとき「楽しい」「喜び」といったエネルギーが流れているのを、私たちは感じ取り、それを「ことば」にします。身体を流れるエネルギーであるアナログの(量として体験される)感情が、「うれしい」「たのしい」というデジタルな(記号としての)「ことば」で名づけられ、結びつけられるわけです。

2歳くらいの子どもが、仮面ラィダーになりきって遊んでいるとしましょう。突然3歳の子どもがやってきて、変身グッズを奪い取ったとしたら、2歳の子どもはどんな反応を示すでしょう?泣き叫び、地団駄をふみ、顔を真っ赤にして、にぎりこぶしをふるわせるでしょう。この子の身体を流れているエネルギーは、非言語的に外に向かって表出されています。親や保育士など養育する大人が、その非言語的表出をくみとって、「くやしかったね」「怒っているんだね」と共感を示すとき、それは、身体を流れる感情を「ことば」で名づけるという子どもの感情を育てるかかわりをしていることになります。

物の名前をあらわす「ことば」は、現実に存在する「物」と「ものの名前」が一対一対応でつなげられることによって獲得されていきます。「感情」と「感情をあらわすことば」が一致したものとして獲得されていくためには、子どもが感じている感情を、推測して「正しく」言い当ててくれる大人の存在が必要だということになります。喜びのエネルギーが流れているときには、「うれしかったんだね」と、悲しみのエネルギーが流れているときには「悲しかったんだね」と名づけてくれる大人がいなければ、感情は「ことば」とのつながりを獲得することができないということになります。

このように、身体を流れる混沌としたエネルギーとしての感情が、「ことば」とつながり、「うれしい」「たのしい」「かなしい」「くやしい」「怒っている」といった「ことば」を使って、自分の身体の中で起こっていることを他者と共有することができるようになることが、「感情の社会化」です。感情は「ことば」によって社会化されます。つまり感情の発達、すなわち社会化のプロセスにおいては、親や重要な養育者との相互作用、コミュニケーションがきわめて重要な役割を果たしていると考えられます。

私たちは、これらのことをまったく意識せずに通過してきているので、「うれしい」といったことばで感情を表現すれば、それを聞いた人にもその感情は同じように伝わると思い込んでいます。

14日 躍動するわくわく感!

14日の魔法の日めくりメッセージです。

躍動するわくわく感! ~絵本はわくドキ~

絵本は、自分自身でページを進める事も、
戻る事も、止める事もできます。
主導権が自分にあり、探究心、やる気、
自発的な行動を促します。
又、想像力も培われます。
いくつになっても、絵本にふれることで、
冒険心を持ち、何かやってみたくなるような
わくわく感が湧いてきますよ。

一番は何より一緒に絵本を開くこと。
「あなたと一緒に」開く絵本が子どもには格別なものなのです。
さあ、14日目です。絵本の国へ出発しましょう。

 2学期5週目、月曜日です。土曜日に本屋さんで6年生の男子と会いました。その子は、お母さんと本を買ってもらいに来ていました。本という共通のものを通じて、地域の人や大人との会話から学ぶことが多くあります。親戚の人との会話からも多くの学びがあるはずです。ミクロとマクロの視点から考えることが大切です。可能でしたら、親子読書や家読に取り組んでみてはいかがでしょうか。非認知能力を育てるのにも読書は大変有効です。学力は「学ぶ力」です。本校の教育目標「自ら学ぶ子」と同じように文字を読んで考える力(読解力)を育てることです。

感情はどのようにして育つのか?①

 感情はどのようにして育つのか?

感情をコントロールすることは難しいことですが、学校生活の中でコントロールできないと不適応が生じてしまいます。感情を伴うイメージは、忘れないという特性を持っています。快・不快を感じる扁桃核で、ワクワクを感じることが大切になると言われています。「怒りをコントロールできない子の理解と援助 大河原美以著」などを基にして考えてみたいと思います。

 

1 感情とことば

私たち大人は子どもたちを「思いやりのある子」に育てたいと願っています。本校の保護者の皆様も同様の状況でした。そして子どもには「思いやりをもちなさい」「困っている人がいたら助けてあげなさい」「電車ではお年寄りに席をゆずりましょう」「人をいじめてはいけません」と教えます。しかしながら現在、教えたとおりに子どもが育たないと感じている方は多いのではないしょうか。最近の子どもたちにはこのようなことを教えていないのではないか、と心配されているようでもあります。だから、「きちんと教えるべきだ」という考えや主張が生まれます。現実には「人を殴ってはいけない」「すぐに怒ってはいけない」「やさしくしてあげなければいけない」「みんなと仲良くしなければいけない」といった、多くの「ベからず」が子どもたちにはシャワーのように毎日ふりそそいでいます。

一般に私たち今の親世代は、子どもを「ことば」で育てる傾向が強いように思います。「思いやりをもちなさい」と伝えると「思いやりが育つ」と考えがちです。しかし「ことば」で伝えれば伝わるものだと思っていることは「錯覚」であると言われています。たとえば、子どもに「机を運びなさい」と言えば、ほとんどの子どもが何をすればよいのかを理解することができます。ところが「思いやりをもちなさい」と言う場合は、友だちにやさしくしてあげようと思う子どももいれば、何をすればいいのかまったくわからない子どもや、先生が見ているところでだけ、どう振る舞えばいいのか理解している子どもなどもいて、その理解の状況は一律のものではないのです。

それはなぜでしょうか?「机」は具体的に実在する「物」です。「運ぶ」という動詞も、具体的な「行動」として現実に体験されています。つまり「机」「運ぶ」という「ことば」はともに「物」や「行動」 と一対一対応で結びついています。ところが、「思いやり」は抽象的なことばで、目に見えません。このように「感情」をあらわす「ことば」は、「物」をあらわす「ことば」と性質が異なるわけです。

「机」「鉛筆」「黒板」「先生」など物の名前は、その名前の「ことば」を使うことによって、他の人と共有のイメージをもつことを可能にします。「机」と聞けば「机」を思い浮かべることができるわけです。「ことば」には、このようにイメージを共有することを可能にするという機能があります。そして、それによって、人は他者とつながりをもつことが可能になります。「うれしい」「かなしい」「腹がたつ」「うらやましい」などといった感情をあらわす「ことば」の場合も同様です。「うれしい」という「ことば」を使うことによって、他の人と共有のイメージをもつことができれば、「ことば」を通して感情を共有することができ、他者とのつながりをもつことが可能になります。このように「ことば」によって感情を他者と共有できるようになるプロセスを「感情の社会化」といいます。「思いやり」という高度な感情が社会化されている子どもたちの集団においては、「思いやりをもちなさい」という「ことば」による指示も有効でしょう。しかし、そうではない状態にある場合、その「ことば」は意味をなさなくなってしまうわけです。

私たち大人は、基本的な感情をあらわす「ことば」をあたかも、アプリオリに(先天的に)知っていたかのように感じてしまいがちです。ですから、「思いやり」ということばとその感情が結びつかないということが、どういうことなのかを理解することは困難です。しかし、パソコンやインターネットに関する「新しい抽象的なことば」を例にして考えてみると、「ことば」と「社会化」の関係を想像していただくことができるでしょう。たとえば「ダウンロード」といった「ことば」によってそれをイメージできない人は、IT社会の中では社会化されていないということになります。

 子どもたちの中には、「思いやりをもちなさい」といわれても、この「ダウンロードしなさい」といわれているのと同じように、何のことやらわからない子どももいるというのが、今の子どもたちの現状なのです。そして、パソコンの苦手な人が、意味はわからないけれどただ「ENTERキーを押せばいい」とのみ学ぶように、大人の前でどう振る舞えばよいかのみを要領よく学んで適応している子どもたちがたくさんいるというのが、子どもたちの感情の発達において起こっていることといえるかもしれません。

13日 けじめとルールを伝える第1歩

13日の魔法の日めくりメッセージです。

けじめとルールを伝える第1歩 ~靴をそろえようね~

1度しゃがんで靴をそろえるのは、
けじめをつけ、それぞれ物事には
ルールがあることを認識する動作です。
例えば、園で靴をそろえると、園のルールを、
「さあ、今から守るぞ!」と認識できるのです。
友達の家には友達の家のルール、
自分の家には自分の家のルールがあり、
社会には社会のルールがある。

靴をそろえることで、けじめがつき、
ルールを守ろうという意識が向けられますよ。

 2学期5週目を迎えた日曜日です。ご家庭で過ごすことが多いかと思いますが、一人で遊ぶときには、ルールは相手任せ(ゲームならゲームのルールのもとに)になりますが、二人以上の遊びにはルールがあり、スポーツにはスポーツのルールがあります。学校には学校のルールがあります。ルールが守られ、定着している土台の上にリレーション(関係性、つながり)ができます。保護者の皆様が職員を信頼していることも土台になっています。これらに基づいて、学校では「守られていることによる心地よさ」を感じさせるように職員一丸となって取り組んでいます。どうぞ、みんな(家庭、地域、職員)で子どもたちを育んでいきましょう。

算数がわからないことを考える⑧

8 どうしてテスト本番で力が出せないの?

授業の内容を本当に理解できていないためにテストで点数が取れないのであれば、できないことを繰り返し復習していくしかありません。しかし中には「わかっているはずなのに、テストになると点が取れない」という子どももいます。特に多いのが「家でやるときはできるのに、テストになると点が取れない」というケース。このケースは、家庭でお母さんが、つきっきりで勉強を見てあげている子どもに多く見受けられます。確かに口出しはせず、子どもが自力で問題を解いているのかもしれません。しかし、子どもはそばにいるお母さんの反応を見ています。

問題を解いている最中に、お母さんが「あっ!」と声を出したり顔をしかめたりすれば、「あれ?間違ったかな」と思ってやり直す。それを見てお母さんは「よしよし、自分で間違いに気付いたな」と思うかもしれませんが、実はそこで一度チェックが入っているわけです。つまり、完全に自分一人で解いていることにはなりません。親が見ていてくれれば、子どもは確かに心強いでしょう。もちろん、場含によっては功を奏することもありますが、逆に、テストで高得点を取れない原因になってしまうこともあります。子どもを見守っているのか、それとも監視しているのか。そこには大きな違いがあります。

また、勉強時間(机の前に座つている時間)が長い子どもの場合は、解くスピードに問題を抱えている場合があります。スピードを意識しすぎてミスを連発してしまう子ども、また、一つの問題を解くのに時間がかかり過ぎて、途中でタイムアップを余儀なくされてしまう子ども、いずれもテストの高得点には結びつきません。

もちろん「この子のペースでじっくりやれればいい」と見守ってあげるのもいいと思います。しかし、テストの点数次第でモチベーションが上がったり下がったりするタイプの子どもであれば、テストと同じような緊張感の中で、制限時間や分量を決めて取り組ませたほうがいいでしょう。ただ、点数だけにこだわりすぎると、子どもの弱点ばかりに目が行きがちです。もし80点を取ってきたら、まずは「すごいね、頑張つたね」と褒めてあげてください。「〇〇君は何点だったの?」とか、「どこをミスしたの?」といった追及は封印しましょう。

 

算数のテストでうまくいくヒント

学校テストの目的は、順位をつけるためではなく、点数を稼いでほしいからでもなく、授業の内容を理解できているかどうかを子ども自身が知るためです。もちろん高得点を取るために努力することも大事ですが、それよりも「できなかった問題=自分の弱点」と捉え、学習方法を見直すきっかけにすることが大切なのです。

(1)一人の力で問題を解く習慣をつける

お母さんのそばで勉強する場合は、お母さんの立ち位置に注意が必要です。もしかしたらお母さんは、「私は見ているだけで、一切ロは出していません」とおっしゃるかもしれません。たとえロに出さなくても、態度や表情で「〇」か「X」かのサインを出していないでしょうか。自分ではわからないうちに、お子さんにプレッシャーを与えていないでしょうか。子どもが勉強に取り組んでいる時は、静かに見守ってあげましょう。そして、すべてを自力でやり遂げた時に、心おきなく褒めてあげてください。

(2)制限時間を決めて、解く速さを身につける

テストでいい結果を出せないときは、問題を解くときにかかる時間に注目してみましょう。1問解くのに、長時間かかっていないでしょうか?子どもには、それぞれのペースがあるかもしれませんが、実際のテストには、制限時間があります。時間内に解けなければ、たとえ正解できていても「解けなかった」と評価されてしまうのです。じっくりと時間をかけて問題に取り組むタイプの子どもは、おそらく実力はあるはずです。テスト前には制限時間を決めて、速く解く練習をしておくのがいいでしょう。

(3)自宅学習でも採点は厳しく

自分に甘い点数をつけるタイプの子どももいます。「このくらいのミスならミスじゃない」と自分に0Kを出してしまうのです。楽観的な性格で、日常生活ではむしろ好ましいのかもしれませんが、テストで点を取るには、自分に厳しい態度で臨むとよいでしょう。間違いに対し「どこで間違えてしまったのだろうか」と点検し、まずは原因を明らかにすることから始めます。単純な計算ミスなのか、大事なポイントを見逃してしまったのか…。家庭学習でもこうして厳しくチェックしておけば、ほとんどのミスは防ぐことができるものです。

12日 丸ごとドーン!と受けとめる

12日の魔法の日めくりメッセージです。

丸ごとドーン!と受けとめる ~「お帰り」「ただいま」~

子どもは毎日、
新しい出来事の中で精一杯過ごしてきます。
この想いを誰かに受け止めて欲しい!
と、帰ってきます。

しっかりと心を抱きしめてあげるためにも、
目を見て笑顔で迎え入れて下さい。

「お帰り」「ただいま」という言葉で、
嫌なことも、すべてリセットされやすくなり、

次への行動が起こしやすくなりますよ。


 2学期4週目が終わり、週末の土曜日です。丸ごと受け止めてもらえることは、子どもたちにとって安心することになります。秩父神社に「親の心得」があります。「赤子には肌を離すな 幼児には手を離すな 子供には眼を離すな 若者には心離すな」です。小学生には子ども同士の仲間関係を大切にしつつ、必要なときに助けてあげてほしいということです。よく斜めの関係になることで受け止めやすくなります。例えば、祖父母の方々は受け止めやすい存在です。子どもから目を離さずに守ってください。どうぞ宜しくお願いします。