日誌

校長室だより

体力をつけるためには?⓫

⓫「体」を動かす ーケガをしにくい体をつくる

 小さな段差を飛び降りたら足首を骨折、跳び箱を跳んだらバランスを崩して両手首を骨折……そうしたささいなことで骨折する子どもが増えています。骨を丈夫にするには、骨に圧を加える運動が最適です日本の骨折研究で有名な京都府立医科大学の保田岩夫医師の研究によると、骨に圧力を加えることによる振動でマイナス電気が発生し、この電気がカルシウムを呼び寄せて骨への沈着をうながし、骨の細胞を活発にすることがわかっています。骨に圧を加える運動は、走る・跳ぶ・踏み込むなど、日常の外遊びやスポーツに含まれています。

体全体をバランスよく使う

 その一方で、スポーツに積極的に取り組んでいるタイプの子にも、特定の部位に必要以上の負担をかけることで機能障害が起きることがあります。ひとつのスポーツに特化しすぎると、使われる部位がかたより、体全体の柔軟性やバランスが損なわれてしまうのです。骨の成長期にある子どもには、日常生活の中で動きにバリエーションをもたせ、無理をさせず、かたよりなく全身を使わせることが大切です

 効果的に「体』を動かすにはどうすればいい?

(1)運動は「毎日1時間程度」が最適

 幼児から、小学生、中学生くらいまでは、毎日1時間くらいの外遊びや運動が最適です。もっと運動したい場合でも2時間を限度にし、長く運動した日の翌日はゆっくりと休むようにします。野球で連日投げ続けるなど、骨の成長途中に無理をすると、逆に骨を痛めることになります。

(2)痛みが続いたら専門医に診てもらう

 痛みが1週間以上続くなどの症状があれば、専門医を受診するようにします。早く発見できれば、早く治すことができるからです。

(3)動物ポーズで体操を

 理学療法士集団キッズプロジェクトチー厶が監修した、骨を育てる「骨ほね体操」は、動物になりきって遊びながら骨に圧力を加えることができます。浜脇整形外科リハビリセンター長の村瀬正昭医師は、「動物の真似をしながら筋力や強い骨をつくる骨ほね体操は、全身のストレッチを十分に行うウォー厶アップと、体操後のクールダウンも必ずセットにして行なうことがポイントです。骨ほね体操も含めて、できれば毎日1時間程度体を動かすことが、成長期の子どもにとってはとても重要です」とアドバイスします。

①きりんポーズ

 両足を上にぐんぐん伸ばしながら、首を前後左右にゆらゆら動かす。首をゆるめて動く範囲を広げておく。

②ねこポーズ

 背中のほうにすいこむ気持ちで息を吸いながら、背中を丸めていく。息を吐きながら、背中をそらす。体幹を使う感覚で。

③かえるでピョーン

 体の前にかえるみたいに手をついて、小さくなって力をためる。足の力を使って、ピョーンとできるだけ遠くに跳ぶ。しゃがんだところから、一気に力を爆発させて跳びあがる。着地の衝撃が骨を目覚めさせる。足腰の筋肉、体幹も鍛えられる。

④バンビでスキップ

 両手を腰に当て、右足で前方向にジャンプして右足で着地する。すかさず左足を出して、同じように左足でジャンプして左で着地。また右足でジャンプ、左足でジャンプと、バンビになった気持ちで、交互にリズムよく跳ねて、前に進んでいく。スキップができないときは、その場で片足ずつジャンプするだけでもOK。リズミカルな心地よい衝撃が、全身の骨にいい刺激を与える。

おすすめの本より⓫

Q:人を好きになるってどういうこと?

A:人には“片割れを探すエネルギー”があるんだ

解説:「人間は“ふたりでひとり”だった」

 「好き」という感情を説明するのは難しいね。プラトンは『饗宴』という話の中で、人を好きになる気持ちの起源についての神話を書いているよ。人間はもともとアンドロギュノスという種族で、ふたりの人間が背中合わせに一体となっている形をしていた。この形をした人間は力が強く、あまりにも傲慢だったために、神は困っていた。神はその力を弱めるために、すべての人間を真っ二つに分けたんだ。

 二体に分かれてしまった人間は、お互いに切り離された"片方"を探している…と言われているんだ。人間は“ふたりでひとり”なんだね。

 そして、ギリシア語には「愛」を意味する言葉が「エロス」「フィリア」「アガペー」の3種類あるんだよ。エロスは恋愛。フィリアは友愛という意味で、相手の幸せを願う気持ち。アガペーは損得勘定のない無償の愛情のことだよ。人を好きになる気持ちも奥が深いね。

おすすめの本より❿

Q:グループの中で仲間外れにする子がいる

A:本能に負けない理性を持った人になろう

解説:「人間はポリティカルなアニマ儿である」

 アリストテレスは「人間はポリティカルなアニマ儿である」と言ったんだ。ポリティカルとは「社会的」という意味だよ。簡単に言うと「ルール」や「集団」のことだよね。もちろん学校もポリティカルだよね。つまり人間はひとりで生きていけない「社会的な動物」なんだ。社会的な動物だからこそ「社会」や「集団」のルールから外れた人を仲間はずれする本能があるのもしれないよね。

 学校の仲よしグループの中で、他の人たちと違った行動をすると仲間外れにされてしまうのも、「社会的な動物」である人間の本能かもしれない。でも、本能だから仕方がない…と諦めてしまうのは絶対に違うよね。人間には本能を抑えることができる「理性」がある。友達が誰かを仲間外れにしようとしたら「理性」で止めないといけない。「本能」に負けない「理性」を持った人間になりたいよね。

体力をつけるためには?❿

❿「免疫力」をつける  —病気になりにくい体をつくる

 現代では、除菌・殺菌が行き届き、かつてより衛生環境がよくなりました。親の衛生意識も昔とは段違いに上がり、子どもたちは清潔な環境で安心な暮らしを送れるようになりました。ですが、その反面、子どもたちが雑菌に触れる機会が減っていることが「免疫力」を弱める原因のひとつにもなっています。パソコンやネット環境が進化した結果、運動不足や睡眠不足、ストレスを抱えた子どもも増えており、そうした問題も免疫力を低下させています。免疫力を高めると、風邪などの感染症にかかりにくくなるだけでなく、血行がよくなって脳や体の動きが活発になります

「免疫力」をつけるにはどうすればいい?

(1)タンパク質をとって筋肉をつける

 白血球には、免疫を担当する細胞が集まっています。体温が上がると血流がよくなり、白血球が体中をめぐることで、免疫力が発揮されます。体温を上げるには、体内に熱をつくる必要があります。筋肉はつねにエネルギーを代謝して熱をつくってくれます。ですから、タンパク質をしっかりとって筋肉をつけることが大切です。タンパク質は、免疫細胞そのものの材料にもなります。肉や魚、牛乳や豆類をかたよらずに食べるようにします。

(2)いろいろなおかずを食べる

 腸には、体内の免疫細胞の60〜70%が存在しています。発酵食品と食物繊維、オリゴ糖は免疫機能を高めてくれます。発酵食品とは、納豆や味噌、チーズ、ヨーグルトなどです。さらに、腸内環境を整えるだけでなく、免疫細胞を活性化させる必要もあります。免疫細胞を活性化させるには、タンパク質が必要です。ビタミン類も、細胞の免疫機能を助けますし、亜鉛などのミネラル類も、免疫細胞を保護するために必要です。

 このように、免疫力には多くの栄養素が関わっていますが、毎食複雑な栄養計算をしなくても、「主食:主菜:副菜=3:1:2」の割合でいろいろな種類のおかずを食べたり、「旬の食材」を意識したりすることで、自然にバランスがとれます

(3)外で遊ぶ

 紫外線を浴びることで人間がみずから合成できるビタミンが「ビタミンD」です。ビタミンDは、がんや自己免疫疾患、感染症の発症予防に関係しています。東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授らの研究によると、インフルエンザがはやりだす前からビタミンDを意識してとっていたら、発症率が半減したといいます。ビタミンD はサバなどの魚類やしいたけなどのキノコ類に含まれるものの、食べ物だけでは不十分です。紫外線=悪とみなされがちですが、紫外線の強い時間帯に肌の極端な露出を避ければ、30分程度の外遊びや散歩をするだけでも多くのビタミンDが合成され、免疫力を高められます

(4)十分な睡眠をとる

 睡眠不足は免疫力を低下させます。早稲田大学人間科学部の前橋明教授によると、たくさん体を動かし、睡眠のリズムが整えば、自律神経の働きがよくなって、低体温などの体温異常が減少するといいます。外で遊ばせると同時に、たっぷりと睡眠をとることで体温が安定し、免疫力が高まります

おすすめの本より❾

Q:ケンカした友だちに「ごめんなさい」が言えない

A:相手との関係を考えてみよう

解説:「人間は関係存在である」

 「ごめんなさい」を英語で言うと、I`m sorry だね。「sorry」には「気の毒だ」という意味もあるから、I`m sorryには「私はあなたを気の毒に思う」という意味がある。自分が謝る立場なのに、相手を「気の毒に思う」とは、少し違和感があるかもしれないね。

 しかしここで大切なのは、気の毒に思う気持ちは、相手への“共感”であること。人間の魅力は、“共感する力”“相手を思う力”があるかどうかで決まるものだよ。哲学者のマルティン・ブーバーは「人間は関係存在である」と言っているよ。人は常に“自分”と“あなた”の関係で存在していると考えたんだ。

 もし「ごめんなさい」が言えないときは、相手との関係を思い浮かべてみよう。相手を大切に思う気持ちはかならずあるはず。大切な家族や兄弟、友だち・・・、相手との関係を修復するための言葉が「ごめんなさい」だよ。