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体力をつけるためには?❶

 今日から子育てベスト100に載っている「体力をつけるためには?」を紹介していきます。

❶バランスよく「栄養」をとる  -よい食事のシンプルな本質
 管理栄養士で子どもの栄養指導にもくわしい牧野直子氏は、子どもの食事で最も大事にすべきことは「全体のバランスを整える」ことだといいます。バランスを整えるには、主食•主菜•副菜をそろえるということが基本です。牧野氏によると、「主食3:主菜1:副菜2」の割合がベストのバランスだそうです。

バランスよく「栄養」をとるにはどうすればいい?
(1)「主食•主菜•副菜」をワンセットにする
 「主食」は、ごはんやパンなど糖質が中心です。糖質は脳と体を動かすエネルギー源になります。糖質制限がブームですが、牧野氏は「糖質が不足すると代わりにタンパク質が使われ、体が大きくなるために必要な栄養素を使ってしまうことになり、骨や筋肉の成長をさまたげます」と忠告します。一度の食事でおにぎり2つ程度、しっかりと糖質をとることが大切です。「主菜』は肉や魚、卵、大豆製品などタンパク質を多く含む食材でつくります。主菜は筋肉や血液などをつくる基になります。とくにスポーツをしている子どもは、筋肉の疲労回復のために、タンパク質をしっかりととることが必要です。
 「副菜」は野菜やきのこ類、海藻、こんにゃくなど、ビタミンやミネラル、食物繊維が多く含まれるおかずです。副菜は体の調子を整えます。「副菜」は1食に2品以上が理想ですが、たとえば具だくさんの味噌汁なら1品で栄養満点。また、主菜にもたっぷり野菜を加えれば、主菜と副菜を兼ねられます。味付けは、主菜が濃いめなら副菜は薄味に、主菜が塩味なら副菜は甘みのあるものにして、全体でバランスをとると、飽きずにおいしく食べられます」(牧野氏)
(2)毎日2杯の「牛乳」を飲む
 これらのほか、子どもの成長期に欠かせない栄養素は、カルシウムです。カルシウムの大半が蓄積されるのは成長期まで。大人になって骨粗鬆症や生活習慣病にならないよう、この時期にしっかり摂取しておくことが大切です。牛乳なら毎日コップに約2杯。小学校の給食で出される牛乳、約2本分です。給食のあるときは、朝ごはんやおやつをコップ1杯の牛乳と一緒にとるようにします。
 ただ、これだけではまだ足りず他の食品からも補う必要があります。ヨーグルトやチーズなど、牛乳以外の乳製品にも多くの力ルシウ厶が含まれています。青菜類(小松菜)、海藻類(ひじき)、大豆食品(木綿豆腐や納豆)、小魚や桜えび(殻、骨ごと食べられるもの)などからもとることができます。
日本人は大人でもカルシウムが不足しているといわれています。子どもの場合、「給食のない週末や長期休みのあいだはとくに気をつけて、家族みんなで積極的に乳製品などをとるように心がけて」と牧野氏はいいます。
(3)1人分ずつ取り分ける
 子どもの肥満が増えていますが、牧野氏によると、盛りつけは1人分ずつ取り分けたほうが、偏食や食べすぎを防ぐとのことです。子どもにはお子さまランチのようにワンプレートミールで盛りつけると、いろいろなおかずが一皿にのってカラフルになります。赤やオレンジ'、黄色の暖色系の器を使うと、食 欲をそそるようです。
(4)夕食が遅くなるなら「2回」に分ける
 最近では、親の帰宅時間や子どもの塾•習い事の関係で、食事の時間が遅くなりがちな家庭が多いかもしれません。そんなときは 「2回に分けて食べさせればいい」と牧野氏はアドバイスします。1回目は、夕方にパンやおにぎりなど主食系のものを先に食べさせておきます。肉まんやおにぎりに含まれる豚肉やサケ、たらこなどのビタミンB,は、主食の糖質と一緒にとると脳の働きがよくなります。
 2回目には、普段の食事より1〜2割少なめの主菜と副菜を食べさせます。ただし2回目のおかずは、揚げ物など消化に時間がかかるものは避けたほうがベターです。睡眠が浅くなったり、翌朝食欲がわかず朝食を食べられなくなったりします。
(5)食べない子には? 食べすぎる子には?
 食の細い子には、高カロリーな揚げ物にすると、少量でもしっかりとエネルギーがとれます。逆に食べすぎてしまう子には、早食いにならないよう、噛みごたえのあるものを出し、よく噛んでゆっくり食べるようにうながします。「噛みごたえを出すには、パスタなら、ペンネのような短いパスタにすると嚙むのに時間がかかります。野菜も固めにゆでたり、繊維に沿って切ったりすることで嚙みごたえを残せます。たとえば千切りキャベツは、繊維に逆らうように切るとふわふわで口当たりが柔らかくなり、繊維に沿って切るとシャキシャキとした噛みごたえが出ます」 (牧野氏)

学力をつけるためには?㉒

㉒「集中力」をつける  一集中できるのはせいぜい15分
カリフォルニア大学アーバイン校の情報科学者、グロリア•マーク教授によれば、人が集中した状態で知的な活動を行なっている際、 邪魔が入ると、ふたたび集中した状態に戻るまでに「23分」もかかるそうです。また、アメリカのブルッキングス研究所は、頻繁に邪魔が入ると、子どもの脳の実行機能が阻害されることを明らかにしています。
子どもたちのまわりは、楽しい刺激に満ちあふれています。そのため、頭の中は雑念に占拠されやすくなっています。現代は、子どもたちの脳がひとつのことに集中しにくい環境であり、効率的な学習や脳の発達には決してよいとはいえないようです。

「集中力」をつけるにはどうすればいい?
(1)机の上には「いまやること」だけを置く
勉強するときにはまず視界に無駄なものが入ってこない環境をつくります。脳はそうした無駄なものからも自動的に情報を取り込み、エネルギーを消費して疲労します。子どもの脳に余計なエネルギーを消耗させないためには、机の上から関係ないものを片づける、あるいは無地の布をかけて隠してしまうのも効果的です。やるべきことに集中できるよう、いまやるものだけを目の前に置きます。
片づけコンサルタントの安藤貢氏は、机の上に常備しておく文房具も、子どもが気に入っていて使いやすいものだけに厳選することを勧めています。
(2)「ルーティン」を決める
ルーティンとは、いつも決まってやる動作など「儀式」のようなものです。ラグビーの五郎丸選手がキックの前に行う、拝むようなポーズが有名ですが、多くのスポーツ選手が、ふだんの練習からルーティンを取り入れ、「集中のスイッチ」にしています。
これは心理学的にも効果があることが明らかになっており、勉強にも活用できます。子どもが勉強を始める際、「決まった位置に文房具を並べる」「机をきれいにふく」「親子で決まった言葉をかけ合う」など、毎日楽しく続けられそうなルーティンを一緒に考えます。
(3)「小分け」にして時間を計る
子どもが集中できる時間は、未就学児〜小学校低学年の場合は「年齢プラス1分」程度、高学年から中学生でも「15分」程度といわれています。子どもは長時間集中することができないので、やるべきことは5分から10分くらいでできそうな分量に小分けにするのがコツです。そしてゲー厶っぽく、ストップウォッチを使って「ヨーイドン」と始めます。
かかった時間や正答率をゲームのスコアに見立て、ゲー厶のステージをクリアしていくような感覚だと、子どものやる気がアップします。「5〜10分x 2〜3セット」で行なうと達成感を得やすく、集中力だけでなく時間の感覚も身につきます。
(4)「休憩」をとる
イタリア出身のコンサルタント、フランチェスコ・シリロ氏は、仕事や勉強、家事などを25分間続けた後に5分の休憩をとり、そのサイクルを最大4回続けるという時間管理術「ポモドーロ・テクニック」を編み出 しました。シリロは、この「25分+5分」が人間にとって最大限の生産性と効率性を引き出せるベストなバランスだといっています。
子どもの場合、一気に25分集中するのは難しいですが、勉強したら休憩を入れて脳を休めることは、学習効率や集中カアップにつながります。
(5)「水」を飲む
イースト・ロンドン大学とウェストミンスター大学の合同研究によると、勉強の前にコップ1杯の水を飲んだ子どもには、集中力と記憶力の向上が見られました。脳の80%は水でできており、脳の働きを高めるために水分を補うことは大切だということです。

学力をつけるためには?㉑

㉑「早寝早起き」をする  -脳のために十分な睡眠をとる
 カリフォルニア大学バークレー校の脳科学者、マシュー•ウォーカー教授によると、学習の後に十分な睡眠をとると、睡眠をとらなかった場合に比べて記憶の定着がよいことがわかりました。ハーバード大学医学部の研究によれば、学習した後の最初の30時間が重要で、この期間の睡眠が足りないと、30時 間よりも後にひと晩ぐっすり眠ったとしても効果がなくなってしまうそうです。
こうした睡眠と学習に関するさまざまな研究から、睡眠は前日に勉強したことやテクニックをより深く記憶にとどめさせるだけでなく、理解を深めることもわかっています。脳は寝ているあいだも、起きているときに行なうさまざまな情報処理や、起きているときの処理を補完するようなことまで行なっています。
 「寝る間を惜しんで勉強する」という表現がありますが、最新の研究によれば正しいとはいえません。また、文部科学省によると、早寝早起きをしている朝型の人と、遅寝遅起きをしている夜型の人の勉強やスポーツの成績を比較したところ、いずれの成績も朝型の人のほうが夜型の人よりもよい傾向にあったという研究報告があります。アメリカでも高校生の学業成績で同じような結果が出ており、早寝早起きでしっかりと睡眠をとることが、学習の定着にはとても重要だといえそうです。

「早寝早起き」をするにはどうすればいい?
(1)小学生は21時には寝る
 小児科医でもある文教大学教育学部の成田奈緒子教授によると、小学生ならできれば21時には就寝したほうがよいということです。成長ホルモンを効率的に働かせるためには、22時には「熟睡」しているのがベストだからです。
塾やスポーツなどの習い事があって帰宅が遅くなる場合には、習い事の前におにぎりなどを食べさせてしまうとよいでしょう。帰宅後は軽めの食事で済ませて、寝るのが遅くなりすぎないように気をつけます。

(2)15時以降の昼寝は避ける
 15時以降に昼寝をしてしまうと、夜遅くまで寝つけなくなることがあります。寝る時間が遅くならないように、昼寝をするなら15時より前に、30分から1時間程度にとどめておきます。
(3)寝る1時間前はブルーライトを避ける
 スマホやゲー厶の液晶画面から出ているブルーライトは、睡眠ホルモン「メラトニン」の大敵です。また、部屋の照明に使われる白色LED照明機器にも、ブルーライトが多く含まれています。
江戸川大学睡眠研究所の福田一彦教授は「子どもの眼は水晶体が澄んでいて瞳孔も大きいため、ブルーライトの影響を受けやすい」といいます。スムーズに眠りにつくためには、少なくとも寝る1時間前からはブルーライトに触れないように気をつけ、部屋の照明も明るくしすぎないよう工夫します。
(4)朝に「子どもの仕事」をつくる
 子どもの寝つきが悪く、朝なかなか起きられないときには、「洗濯物を干す」「朝ごはんのおはしやコップを並べる」「ペットの餌を準備する」など、朝早く起きてやる家事を子どもにもまかせます。朝早く起きるリズムができると、夜は自然と早く眠りにつけるようになります。

学力をつけるためには?⓴

⓴「やる気」をつくる  —「自分からやる」意欲を引き出す

 どうやったら自分からすすんで勉強するようになるのか。やる気にさせるにはどうすればいいのでしょうか。心理学では、人をやる気にさせることを「動機付け」といいます。動機付けはアメと厶チ(ごほうびと罰)のように自分以外から影響を受ける「外発的」なものと、自分自身の中にある関心や興味、意欲による「内発的」なものに分けられます。
 外発的な動機付けは親がコントロールしやすく、すぐに効果が出ますが、長くは続きません。たとえば子どもが「悪い成績をとると怒られる」という理由で勉強すると、怒られるのを避けることが目的になってしまい、自発的に勉強しようとする意欲が低くなってしまうからです。効果が出るまでに時間はかかるものの、やる気を継続させるには、「内発的な動機付け」が必要といえます。

「やる気」をつくるにはどうすればいい?
(1)成功体験」を与える
 ロチェスター大学のエドワード・デシ教授は、「自分はやればできるという有能感があるとやる気が高まり、自分は何をやってもできないのだと思うほど、やる気が下がる」と指摘しています。ベネッセ教育総合研究所「小中学生の学びに関する実態調査報告書」(2014)の調査でも、自分はできるという気持ちが強い子どもほど内発的動機付けで学習に取り組み、成績もよい傾向にあることがわかっています。
 では、自分はできるという気持ちが弱いために子どもにやる気が出ない場合はどうすればよいでしょうか。法政大学の発達心理学者、渡辺弥生教授は、「成功体験」を与えることが重要だといっています。そのためには、「子どもが成功することができるよう、がんばれば必ず到達できるような目標や狙いを具体的に設定してやり、到達すれば『やったね』と達成感を与え、また次に成功できそうな目標を立ててやるといった、『スモー儿ステップ』を設定するやり方に効果がある」といいます。達成感を得やすくすると、段階的に自信がつき、学習意欲につながります。
(2)自分で選ばせる
 やることを自分の意思で自由に選択することができれば、内発的動機付けが高まります。デシ教授による実験では、ひとつのグループには「どのパズルを解くか、そのパズルにどのくらいの時間をかけるか」を自分で選択させ、もうひとつのグループには、最初のグループが選んだのと同じパズルを渡し、同じ 時間内に解くように伝えました。すると、選択の機会を与えられた前者のグループは、後者のグループにくらべて意欲が高くなりました。何をいつ、どこで、どの順番でやるかなど、自分で自由に選択できることが、やる気をアップさせるのです。
(3)頼り、ほめ、励ます
 また、デシ教授は、最初は外発的動機から始めたことでも、のちに内発的動機が大きくなってくることがあるといいます。最初は好きで始めたわけではなくても、まわりの誰かに頼りにされたり、ほめられたり、 失敗しても温かく見守られていたりという経験をすると、楽しい、もっと知りたいという興昧や関心に変化していくというのです。とりわけまだ意欲が低い段階だと「一緒にがんばれる存在」がモチベーションをアップさせます。学習に対して消極的な子には、大人がそばで励ましながら勉強を見てあげたり、年下の 弟や妹など、ほかの子に教えさせたりすることが意欲引き出すきっかけになります。
(4)好きなことを主体的に学ぶ
 オックスフォード大学の心理学者であり、教育学者だったジェロー厶・ブルーナー教授は、好きなことを学ぶときに感じる楽しさや好奇心は、内発的動機付けの重要な源だといっています。好奇心を生かすには、子どもの好きなことを深掘りさせて、「知りたい」という気持ちを刺激し、親子で一緒に楽しむことです。主体的に取り組む姿勢が、学ぶ意欲を引き出します。

学力をつけるためには?⓳

⓳「サポート」する  ―過干渉にならない支え方
 ーバード大学子ども発達センターでは、子どもにとって、周囲の大人の適切なサポー卜は、記憶力や集中力、自制心などをつかさどる脳の機能の発達にとても重要だとしています。ただし最近では、不必要なまでに親が手を貸してしまう「過干渉」が問題になっています。過干渉な子育てでは、子どもが困ったり失敗したりしないよう、親が先回りして障害物をすべて取り除こうとします。親が子どものまわりをいつもブンブンと巡回しているので「ヘリコプターペアレント」、あるいは「カーリング育児」などとも表現されます。アメリカでは、ヘリコプターペアレントに育てられた大学生に、高いレベルでうつ病の発症が見られるという調査結果もあります。
 京都大学の心理学者、河合隼雄名誉教授は「昔の親はお金がなく、子どもに最低限の衣食住ですら十分なことができなかったため、何をしてやろうかと考えた。けれどいまの親の愛情は『何をしないか』を考えなければならない」という言葉を残しています(『私が語り伝えたかったこと』河出文庫)。少子化が進むなかにあって、そのさじ加減は難しいところです。
うまく「サポート」するにはどうすればいい?
(1)3分類で片づける
 脳は散らかった机を前にしているだけでも、注意が奪われ、余計に疲れてしまいます。子どもが片づけを苦手とするなら、親が一緒に手伝ってあげます。近藤麻理恵氏に師事した片づけコンサルタントの安藤貢氏は、モノを分類するときは「3分類」までにしておくと、子どもでも簡単に仕分けられるといいます。どのように分類するかは親子で相談して決めます。長く使わないものは思い切って捨てるか、衣装ケースなどにまとめてしまいます。
(2)ルーティンワークを決めておく
 子どもは予定を立てるのが苦手です。やらなければいけない宿題や家庭学習については、毎日のルーティンワークとし、何をいつやるかを親子であらかじめ決めておきます。
(3)どうやるかは子どもに選ばせる
 ただし、一から十までお膳立てをしてしまうと、子どもは自分で何をすべきか、何をやりたいかが決められなくなってしまいます。何をやりたいか、どっちを先にやりたいかなど、意思決定は子どもにまかせます。子どもがすぐに決められなくても、自分で決めるまで待ちます。子どもの決定を尊重し、大人の都合を優先しないように気をつけます。
(4)邪魔をしない。手を貸さない
 運動でも勉強でも、子どもが途中で手こずったり、気を抜いてぼ一っとしていたりしても、見守るのが基本です。もちろん、命に関わるようなケガをしそうだったり、誰かを傷つけてしまいそうなときは手を貸さなければいけませんが、大人の都合で子どもの邪魔をしたり、過剰に手を貸して、子どもの達成感まで奪ってしまうのは本末転倒です。
(5)勇気づける
 子どもにとっては「ここは助けてほしい」と思う場面があるでしょう。とはいえ、親がすぐに手伝ってあげていては、子どもは安易に大人を頼るようになってしまいます。心理学者のアドラーは、親のサポートとは、子ども自身が自分の課題を自分の力で解決しなくてはいけないと思えるよう、子どもに「どうしたらいいと思う?」と問いながら勇気づけていくことだといっています。

学力をつけるためには?⓲

⓲「音読」する  -間違ってもいいから「楽しく」読む
 本を読むとき音読をすると、脳内で「読む」「話す」「聞く」という作業を同時に行なうことになるため、とくに、前頭葉という部分が刺激を受けます。前頭葉は、記憶、意欲、自制心をコントロールするところです。つまり、音読によって前頭葉を刺激すると、記憶力、集中力、注意力などが鍛えられます。また、音読をすると、脳内に「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが多く分泌されるようになり、精神が安定するともいわれています。

うまく「音読」をするにはどうすればいい?
(1)手を止めて聞いてあげる
 子どもが音読をするときは、「ながら聞き」はNG。親は手を止めて聞いてあげます。
(2)すぐにほめる
 読み終わったらすぐに「ちゃんと読めたね」「えらいね」とほめます。脳科学者の川島隆太教授によると、親がすぐにほめると、それだけで子どもの脳は活性化し、やる気がアップするといいます。
(3)「勉強前」が効果的
 すぐにほめることで脳が活性化し、やる気もアップするため、音読は勉強前のウォーミングアップに最適です。川島教授の研究によれば、音読をすると「記憶」の容量が2〜3割ほど増えるそうです。とくに子どもの場合は脳の器が大きくなり、記憶力だけでなく、創造力や論理的な思考力、自制心なども伸びていくと川島教授はいっています。
(4)間違えてもその場で訂正しない
 30年にわたり、小学生〜高校生の作文指導に携わっている「言葉の森」の代表、中根克明氏によると、子どもが低学年のうちは、言葉の読み方や区切り方を間違えたとしても、 その場で訂正せずに最後まで聞いてあげるべきだといいます。もし、つっかえてしまったところで音読を中断させて間違いを指摘すると、子どもはその後緊張して読むようになります。これでは子どもが「読むことが苦痛になり長続きしなくなる」と中根氏は指摘します。
 中根氏によると、子どもが間違ったところを指摘する代わりに、子どもが読んだ後に親が同じところを音読し、子どもに聞いてもらうとよいそうです。親も最後まで楽しく、そして正しく読めていれば、自然と子どもも間違いを正すようになるといいます。
少々間違えたくらいで文章全体の意味が大きくくずれることはないので、「まずはほめてあげること」 「なによりも子どもが楽しく取り組めること」が最優先だと中根氏はアドバイスしています。
(5)くりかえし、スピードを上げる
 川島教授によると、読むスピードを上げることで頭の回転速度が上がるそうです。脳に負荷をかけると前頭葉がますます活性化し、文章を理解するスピードがアップします。目から文字情報を入れて、声に出して読む、つまりインプットとアウトプットをすばやくくりかえすことで、目で読んだ記憶と声に出して読んだ記憶がつながりやすく、記憶力も高まっていきます。

学力をつけるためには?⓱

⓱「優先順位」をつける  一やることリストで行動を整理する
私たちはつい、やりたいことを優先し、やるべきことを後回しにしてしまいます。子どもならなおのこと「やりたいことが最優先!」に決まっています。そもそも子どもは「優先順位」とは何かさえわかっていません。そこで、鳥取大学の応用行動分析学者である井上雅彦教授は、毎日やることを「ふせん」を使って整理し、見える化することで、 優先順位がつけやすくなるとアドバイスしています。

「優先順位」をつけるにはどうすればいい?
(1)時間帯ごとに区切る
まず、時間帯を「朝・昼・夜」に区切って考えます。それぞれの時間帯に子ども自身がやりたいこと、やったほうがいいと思っていることをすべてふせんに書き出していきます。
(2)「必ずやること」と「やりたいこと」に分ける
1つのふせんには1つの行動を書きます。 洗顔、歯みがき、食事、入浴、宿題、計算、漢字ドリルなど、「毎日必ずやること」と、友だちと遊ぶ、ゲー厶をする、本を読む、テレビを見るなど、「時間があればやりたいこと」を色で分けます(例:必ずやることはピンク色、やりたいことは緑色、など)。
(3)「必ずやること」ばかりで埋めない
学年が上がるにつれ、習い事が増えて帰宅時間が遅くなり、さらに家でもいろいろなことをやらせようとすると、子どもが「やりたいこと」をする時間がなくなってしまいます。
スタンフォード大学教育学大学院の上級講師で若者の成功や動機付けが専門のデニス・ポープ氏は、「幼い子どもは、毎日放課後の決まった時間に『遊びの時間』が1時間必要だ」と語っています。遊びが脳を活性化し、子どもの創造力や共感力も高めることはすでに実証されています。あれもこれもやらせよ うとする前に、優先的に自由な時間を確保することが大切です。
(4)マグネットシートを使って達成感を
毎日のリズ厶が整ってきたら、ふせんではなく、両面が磁石になっているマグネットシートで、子どもと一緒に「やることリス卜」をつくってみます。100円シヨップでは、カラフルなマグネットシートが売られています。マグネットシートもふせんと同じように「必ずやること」と「やりたいこと」を色で分け、ふせん の内容をそのまま書き込みます。
マグネットシートは裏も使えるので、裏には「やったね!」「できた!」といった言葉やニコニコマークなどを描いておき、1つ終わるたびにひっくり返すようにすると達成感を覚えやすくなります。こうした子ども向けの「やることリスト」は、多くの親御さんが工夫を凝らして実践されているようで、インターネットで「子ども計画ボード」などと検索すると、たくさんのアイデアが公開されていて参考になります。

学力をつけるためには?⓰

⓰「フィードバック」する   -ポジティブに課題を伝える

子どもの勉強やお手伝いなどをほめることは、「やればできる」という気持ちを育むためにはとても大切です。ですが、現実にはほめてばかりというわけにはいかず改善してほしいこともあれこれと出てきます。

ではどうやったら改善すべき点を効果的に伝えることができるのでしょう。カギとなるのは「フィードバック」です。フィードバックとは、どんな行動をしてどんな結果がもたらされたのかを具体的に伝え、ふりかえってもらうアドバイスです。

 

うまく「フィードバック」するにはどうすればいい?

(1)「ほめる→要改善点→ほめる」のサンドイッチにする

フィードバックの手法で、PNP (ポジティブ・ネガティブ・ポジティブ)法というものがあります。これは、ポジティブなフィードバックのあいだにネガティブなフィードバックをはさむので、サンドイッチ法ともいわれています。

最初は「ほめること」から始めます。具体的にどこがよかったかをほめます。その次に、「改善できそうなこと」を伝えます。ここがとても大切な部分です。そしてふたたび、最初に挙げた「ほめポイント」をくりかえす、場合によってはそこに新しいほめポイントを加えて、気持ちよく締めくくります。

(2)「How」と「What」を明確にする

いうまでもなく、このフィードバックで大切なのは、サンドイッチの「具」(つまり「子どもがこれから改善できそうなこと」です。ポイントは、どんな方法で(How)何をすればいいか(What)を具体的がわからせてあげること。一方的に押しつけるのではなく、問いかけながら、子どもが自分なりの結論を導き出せるまでつきあいます。

(3)「でも」より「だから」を使う

フィードバックは、子どもの成長のチャンスです。まわりの言葉の使い方ひとつで子どもの行動は変わります。フィードバックをする際、「でも」「だけど」といった逆接の接続詞を使うと、子どものやる気をくじいてしまいます。フィードバックをするときは、意識的に 「だから」や「……ならどうかな」といった表現を使うようにすると、子どもは前向きに受け止めることができ、モチベーションが高まります。

(4)フォローも忘れずに

フィードバックしっぱなしではなく、少しでも改善が見られればすぐにほめるようにします。

学力をつけるためには?⓯

⓯ほめる  ―何をほめるかで大きく変わる
 人はほめられると脳の神経が刺激され、 ドーパミンが放出されることで強い幸福感に包まれます。また、1960年代、ハーバード大学の教育心理学者、ロバート・ローゼンタール教授は、教師が『君ならやればできるよ』と言うと実際に学習者の成績が伸びることを実験で明らかにし、これを「ピグマリオン効果」と名づけました。
「ほめ方」しだいで効果が変わる
 一方で、慶應義塾大学の教育経済学者、中室牧子教授は、アメリカの大学で近年行なわれたいくつかの研究結果をもとに、「むやみ に子どもをほめると、実力の伴わないナルシストを育てることになりかねない」といっています(『「学力」の経済学』ディスカヴァー・トゥエンテイワン)。ただし、ほめることに効果がないわけではなく、大事なのはその「ほめ方」だといいます。

効果的に「ほめる」にはどうすればいい?
(1)すぐにほめる
 行動主義心理学の学習へのアプローチで 「即時確認の原理」という考え方があります。 ほめるにしても注意するにしても「即時」が大事だということです。やったことがすぐに認められるとうれしいのは、意識がいま、そこにあるからです。
(2)能力より、努力をほめる
 コロンビア大学の心理学者、クラウディア・ミューラー教授とキャロル・ドゥェック教授は、「ほめ方」に関して、小学5年生 400人を対象に実験を行いました。それによると、テストの結果がよかったときに「あなたは頭がいいのね」と言われたグループはその後の成績が下がり、「あなたはよくがんばったわね」と言われたグループは 成績を伸ばす傾向がありました。
 また、「努力」より「能力」をほめられた子は、難題に直面したときにすぐにあきらめる傾向があり、成績へのプレッシャーから自分の成績に関してウソをつく傾向も高いことがわかりました。一方、努力をほめられた子は、悪い成績をとっても自分の能力のせいではなく「努力が足りないからだ」と思い、難題に挑戦し続けるということもわかりました。
(3)過去と現在をくらべる
 東大合格者数日本一の開成中学・高校の柳沢幸雄前校長は、「子どもの成長を過去と現在で比較すれば、いくらでもほめるポイントが見つかる」といい、これを「垂直比較」と呼んでいます。自己肯定感を高めるためにも、その子自身の成長を垂直比較することが大切だといっています。

学力をつけるためには?⓮

⓮時間をあけて「復習」する  ― 覚える科目に最適の方法

 ワシントン大学の心理学者、ヘンリー・ローディガー教授は、一気に詰め込む勉強を習慣にしていると、 次の学期に成績がガタ落ちする可能性があるといいます。いわゆる「一夜漬け」は、切羽詰まった状況にはそれなりに効き目があるものの、そうして覚えた知識は、長く記憶にとどまってくれません。覚える量は同じでも、勉強時間を分散したほうが、知識が脳にとどまる時間がはるかに長くなります。

 では、学んだことをより長く記憶にとどめ ておくには、どのタイミングでもう一度触れ るのが最適なのでしようか。2008年、ヨーク大学(カナダ)の心理学者メロディ・ワイズハート氏は、カリフォルニア大学の心理学者ハ口ルド・パシュラー氏とともに、幅広い年齢層の1354人を対象にした大がかりな実験を行ないました。その結果、 以下のように試験までの期間に応じて、復習の間隔を変えたほうがよいことがわかりました(『脳が認める勉強法』)。

 

「復習」はどのタイミングでするのがいい?

(1)「復習までの間隔」は次第に広げる

 仮に試験が1週間後で、それまでに「90分」の時間を使えるとするなら、今日90分勉強するよりも、今日30分勉強し、2回目は翌日(もしくは明後日)に30分、試験前日に30分、同じことを勉強したほうが、その記憶はしっかりと頭に残ります。

 試験が1か月後の場合、今日勉強して、復習は1週間後にやり、3回目の勉強は試験前日にやるのが最適だということがわかりました。また、目先の試験とは関係なく、長く知識を定着させたいのであれば、ポーランドの研究者ピョートル・ウォズニアックの研究が参考になります。ウォズニアック氏は、今日勉強したなら、1〜2日後に復習し、その次は1週間後、その次は1か月後(その次はさらに先)という形で、次第に間隔をあけて復習することが、記憶を強力に脳に刻むのに効果的だと示しています。

 脳医学の分野でも、東京都医学総合研究所 が2018年にアメリカの科学雑誌『セル・リポーツ』に掲載した研究結果で「間隔をあけて反復学習を行なうと記憶が長い期間、定着するjという脳内の働きが明らかにされています。

(2)間隔をあけた学習は「暗記」に効果的

 間隔をあけた学習は、覚えたことを記憶に とどめるための効果的なやり方です。多くのことを長く覚えていられると理解力も深まるため、この方法は理系科目でも研究が進められています。ただし、いまのところはっきりしているのは、語学や用語、知識の暗記に適しているということのようです。